整備士の採用が難しい理由|求人倍率4.99倍で応募を集める方法

自動車整備士の求人を出しても応募が来ない。面接まで進んでも大手ディーラーに流れてしまう。整備工場を経営していると、多くの方がここで止まります。

整備士の有効求人倍率は4.99倍。全職種の1.17倍(いずれも令和5年度)と比べて約4倍の取り合いになっています。待っていて応募が来る職種ではありません。

ただし、同じ地域の中小工場でも採用できている会社はあります。この記事では、国土交通省のデータで構造を確認したうえで、中小の整備工場が大手と違う土俵で戦うための具体策を整理します。

この記事の要点

整備士の有効求人倍率は4.99倍で全職種の約4倍。経験者だけを狙うと、そもそも母数がありません。

  • 構造的な背景平均年齢47.2歳、整備学校の入学者は約20年で半減しています。
  • 中小の整備工場が採るなら未経験や他業種からの転職に対象を広げ、給与の内訳・休日・資格取得支援を具体的な金額で書くこと。

国土交通省が示した「働きやすい職場」の4要素は、そのまま求人票の材料になります。

弓川堅士

弓川堅士

株式会社Abey
代表取締役

この記事の監修者

長崎大学卒業後、上場企業グループ会社の事業部長として組織づくり・採用業務を担い、株式会社Abeyを創業。
月10万円からの採用業務代行サービス「採用コミット」を立ち上げ、主に中小企業の中途採用(正社員・業務委託採用)を母集団形成から支援。現場で日々採用に向き合っている実務者の視点から、本記事の内容を監修しています。

目次

整備士の採用が難しい理由をデータで確認する

感覚ではなく数字で押さえておくと、どこに手を打つべきかが見えてきます。国土交通省の「自動車整備士の確保・育成に係る課題とこれまでの取組」から、主要な指標を確認します。

整備士1人を、約5社が取り合っている

自動車整備要員の有効求人倍率4.99倍に対し、全職種は1.17倍であることを示すグラフ
自動車整備要員の有効求人倍率(令和5年度)。出典:国土交通省「自動車整備士の確保・育成に係る課題とこれまでの取組」(原典:厚生労働省「職業安定業務統計」)

同資料に示された自動車整備要員の有効求人倍率は4.99倍。全職種の1.17倍に対して約4倍です(いずれも令和5年度の値)。

これは、整備士1人が転職を考えたときに、およそ5社の求人から選べる状態を意味します。選ばれる理由を求人票に書けていなければ、応募は来ません。

あわせて同資料では、約6割の事業者が整備士の不足を感じていると示されています。同じ悩みを抱えた工場が全国で求人を出している状況です。

担い手は高齢化し、入口も細っている

整備要員の平均年齢が39.7歳から47.2歳に上昇し、自動車整備学校の入学者数が12,394人から7,068人に減少したことを示すグラフ
整備要員の平均年齢と自動車整備学校の入学者数。出典:国土交通省「自動車整備士の確保・育成に係る課題とこれまでの取組」

自動車整備要員の平均年齢は47.2歳。約20年前の39.7歳から7.5歳上がっています。

入口はさらに厳しく、同資料は「過去20年で自動車整備学校入学者数の半減」と記載しています。グラフ上は12,394人から7,068人への推移が示されています。

一方で自動車の保有台数は7,911万台から8,257万台へと増えています。整備する車は増え、整備する人は減っているのが現状です。

この構造から言えること

  • 経験者の転職市場を待つ戦略は成り立たない平均年齢47.2歳ということは、20代・30代の経験者はごく少数です。その少数を大手ディーラーと取り合うことになります。
  • 整備学校の新卒だけに頼るのも難しい入学者が半減しているため、学校経由の採用は競争が激化しています。学校との関係が薄い中小工場ほど不利になります。
  • 母数を広げる以外に打ち手がない未経験、他業種からの転職、女性、シニア。対象を広げられるかどうかが、採用できる会社とできない会社を分けています。

整備士に選ばれる求人票の作り方

整備士1人を約5社が取り合う市場では、求人票の中身で差がつきます。まず失敗のパターンから見ていきます。

中小の整備工場がやりがちな求人票の失敗

実際の求人票を見ていると、応募が来ない工場には共通した書き方があります。

整備士の求人票の書き方の比較。職種名・給与・休日・仕事内容・資格支援を具体的に書いた場合との違い
同じ会社でも、書き方だけで見え方が変わる(記載例)
  1. 職種名が「自動車整備士」だけこれでは資格を持った経験者しか自分ごとにできません。「自動車整備士(3級・未経験可)/〇〇市」のように、対象と勤務地を職種名に入れると、検索にも引っかかり、対象も広がります。
  2. 給与の下限が実態より低い「月給20万円〜」と書いてあっても、実際は資格手当を含めて24万円以上払っているケースが多くあります。求職者は下限の数字で判断します。手当の内訳まで書いて、実態に合わせてください。
  3. 休日が「週休2日制」だけ「週休2日制」は完全週休2日を意味しません。求職者は曖昧な表記を悪いほうに解釈します。「日曜+隔週土曜/年間休日108日」のように、具体的な日数と曜日を書きます。
  4. 仕事内容が「車検・一般整備」で終わっている1日に何台扱うのか、何人体制なのか、扱う車種は何か。ここが書かれていないと、働く姿を想像できません。
  5. 資格取得支援が「あり」の一言何をどこまで負担するのかが書かれていなければ、判断材料になりません。受験費用なのか講習費まで含むのか、合格祝金があるのかを明記します。

いずれも会社の条件を変えずに、書き方だけで直せる項目です。費用もかかりません。

整備士の資格を理解しておくと、募集の幅が変わる

未経験を採用するかどうかを判断するには、資格の仕組みを押さえておく必要があります。ここを分かっていないと、求人票で何を書けるかも決まりません。

資格できること受験までの道筋
無資格整備士の指示のもとでの補助作業、洗車、納車準備、部品交換の一部—
3級整備士基本的な分解整備の一部を担当できる実務経験1年、または養成課程の修了
2級整備士ほぼすべての整備作業を単独で担当できる。実務の中心3級取得後の実務経験3年、または養成課程の修了
1級整備士高度な診断・環境技術に対応。指導的な立場2級取得後の実務経験3年 ほか
自動車検査員指定工場で車検の完成検査ができる2級以上+実務経験と講習

重要なのは、無資格でも任せられる作業があり、そこから1年で3級を受験できるという点です。洗車・納車準備・タイヤ交換・オイル交換は、資格がなくても担当できます。

つまり未経験を採用しても、初日から現場の戦力にはなります。ベテランが本来の整備に集中できるようになるだけでも、工場の処理台数は増えます。

求人票には「入社後1年で3級、その3年後に2級を目指せます」といった道筋を書いてください。資格取得までのスケジュールが見えると、未経験者は応募しやすくなります。

整備士の採用で、大手ディーラーと同じ土俵で戦わない

中小の整備工場が、給与や知名度で大手ディーラーに勝つのは簡単ではありません。勝負するポイントを変える必要があります。

項目大手ディーラー中小整備工場が出せる価値
扱う車種基本的に自社ブランドあらゆるメーカー・年式に触れられる
仕事の範囲分業で担当が決まっている受付から整備、納車まで一通り経験できる
キャリア制度は整うが昇進に時間がかかる数年で工場長・幹部という道がある
働き方ノルマや販売目標がある場合も整備に集中できる
人間関係異動や転勤がある顔ぶれが変わらず、転勤がない

とくに「幅広い車種に触れられる」「一通り経験できる」は、腕を磨きたい整備士にとって大きな価値です。大手では得にくい経験であり、中小の明確な強みになります。

ただし、これらは求人票に書かなければ伝わりません。「アットホームな職場です」では何も伝わらないので、上記のような具体的な言葉に置き換えてください。

求人票を直しても応募が来ないときは

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整備士の応募者を増やす、ターゲットの広げ方3つ

「2級整備士・経験3年以上」で募集し続けている限り、母数は増えません。広げられる方向は3つあります。

整備士の採用ターゲットを広げる方向。2級経験者中心から、3級・未経験+資格取得支援、他業種からの転職へ
ターゲットを広げないと、そもそも母数がない

1. 未経験・3級を受け入れて育てる

もっとも母数が増える方向です。整備は資格が必要な仕事ですが、3級整備士は実務経験1年(または養成課程の修了)で受験できます。

未経験を受け入れる場合、求人票に次を書いてください。

  • 入社後の3ヶ月・1年で何ができるようになるか「洗車と納車準備から始めて、3ヶ月でタイヤ交換とオイル交換、1年で12ヶ月点検を担当」のように段階を示します。
  • 誰が教えるのか教育担当がつくのか、先輩と2人1組で動くのか。ここが不明だと「放り込まれるのでは」と不安になります。
  • 資格取得支援の中身と金額受験費用・講習費の負担、勤務時間内に勉強できるか、合格祝金の有無。金額まで書くと本気度が伝わります。
  • 未経験から入った先輩の経歴前職が何で、いま何年目で、どんな仕事をしているか。読み手が自分を重ねられます。

2. 他業種から機械に触れてきた人を狙う

製造業、物流の整備部門、建設機械のメンテナンス、バイクショップ。工具を使い、機械の構造を理解している人材は整備士に近い素地を持っています。

この層に届かせるには、求人票の職種名や仕事内容に「工場勤務経験者歓迎」「機械いじりが好きな方」といった言葉を入れることです。整備士経験者向けの専門用語だけで書くと、この層は自分ごとにできません。

3. 女性・シニアを想定した条件を用意する

国土交通省のガイドラインでも、女性整備士の活躍推進が取組例として挙げられています。設備面(更衣室・トイレ)や勤務時間の柔軟性を整えられるなら、それも求人票に書ける材料です。

また、定年後のベテラン整備士を短時間勤務で迎える形も選択肢になります。フルタイムにこだわらないだけで、応募できる人は増えます。

国が示した「働きやすい職場」の4要素を求人票に使う

国土交通省は「自動車整備士等の働きやすい・働きがいのある職場づくりに向けたガイドライン」を公表しています。整備事業者が実施すべき取組・望ましい取組を4つの要素で整理したものです。

これは職場改善のための指針ですが、すでに実施している項目があるなら、そのまま求人票に書ける材料になります。

国土交通省のガイドラインが示す働きやすい職場の4要素と、それぞれを求人票にどう書くかの例
国が示した「働きやすい職場」の4要素は、そのまま求人票の材料になる
  • 働き方・労働条件ガイドラインでは、定期的な設備の安全点検、女性用設備の充実、フレックスや時差出勤による勤務シフトの柔軟化が挙げられています。求人票には、完全週休2日の可否、始業・終業時刻、繁忙期の残業時間の実態を書きます。
  • 人間関係・コミュニケーションメンター制(年齢の近い先輩が新入社員をサポートする制度)の導入が例示されています。求人票では「教育担当が1名つきます」「20代が3名います」のように、人の顔が見える情報にします。
  • 人材開発等級制度、社内教育・社外研修、新しい診断機器の導入が挙げられています。求人票には資格取得支援の具体的な中身と、扱う診断機器や車種を書きます。最新の設備があることは、腕を磨きたい整備士に効きます。
  • 待遇賃金の確保、整備士資格手当・役職手当の支給が例示されています。求人票では手当の金額、昇給の実績、賞与の支給月数まで書きます。

すでに実施していることを書いていないだけ、というケースがかなりあります。まずは自社が4要素のどれを満たしているかを棚卸ししてください。

整備士の求人票に必ず書く項目

項目書き方の要点
職種名「自動車整備士(3級・未経験可)/〇〇市」。対象と勤務地を入れる
給与下限を実態に。資格手当の金額、昇給・賞与の実績まで
休日年間休日日数と曜日。お盆・年末年始の扱いも
仕事内容1日の台数、体制(何人1組か)、扱う車種と作業の中身
資格取得支援負担する費用の範囲と金額、勤務時間内の学習可否
設備・工具リフト台数、診断機、空調の有無。作業環境は判断材料になる
教育体制教育担当の有無、3ヶ月・1年後の到達点
職場の構成従業員数と年齢層。未経験から入った先輩の存在

このうち設備・工具の情報は、他業種の求人にはない整備士特有の判断材料です。リフトの台数や診断機の種類は、整備士が働きやすさを判断する具体的な材料になります。書いている工場は多くありません。

なお、整備士と同じ「機械整備・修理」は生産工程のなかで有効求人倍率3.89倍と最も高い区分です。製造業側から見た採用事情は製造業の求人に応募が来ない原因|求人倍率の差と求人票の直し方にまとめています。

整備士の求人をどこに出し、いくらかかるか

原稿を整えたうえで、媒体の使い分けと費用の目安を確認します。

整備士の求人は、どの媒体に出すか

媒体掲載費向いている使い方
Indeed無料掲載可/有料出稿で露出増整備士の求職者が最も多い。まずここから
求人ボックス無料掲載可/有料出稿ありIndeedと併用。クリック単価を比較して配分
エンゲージ・Airワーク無料採用ページを無料で作り、Indeed等へ連携
ハローワーク無料地元志向の求職者。中高年の応募も期待できる
整備士特化の求人サイト有料が中心経験者を狙う場合。母集団は絞られる
整備専門学校との関係づくり費用は基本かからない新卒。求人票の提出だけでなく、見学受け入れが有効

未経験・他業種を狙うなら、整備士特化サイトよりIndeedや求人ボックスのほうが届きます。特化サイトは「整備士として転職したい人」しか見ていないためです。

専門学校との関係づくりは時間がかかりますが、費用がかからず継続的な効果があります。求人票を送るだけでなく、工場見学を受け入れる、実習を引き受けるといった接点が有効です。

専門学校ルートの開き方

整備学校の入学者は減っていますが、それでも毎年一定数の卒業生が出ます。中小工場でも接点は作れます。

  1. 近隣の整備専門学校・工業高校を洗い出す通学圏にある学校をリスト化します。地元志向の学生は、実家から通える範囲の工場を探しています。
  2. 就職担当の先生に直接会いに行く求人票を郵送するだけでは他社に埋もれます。工場の写真や、若手社員の話を持って訪問してください。先生は「卒業生が定着する工場か」を見ています。
  3. インターンや工場見学を受け入れる1日でも構いません。実際に作業を見せることが、もっとも強い接点になります。
  4. 卒業生がいるなら、その関係を使う自社に在籍する卒業生が母校に顔を出すだけで、印象は大きく変わります。

効果が出るまで1〜2年かかりますが、費用がかからず、一度関係ができれば継続します。Web媒体の運用と並行して、時間のあるときに進めるのが現実的です。

整備士の採用にいくらかかるか

採用手段によって、1名あたりの費用は大きく変わります。

手段1名あたりの費用目安特徴
ハローワーク0円掲載費はかからないが、露出は限られる
無料媒体(エンゲージ・Airワーク)0円採用ページを作れる。単体では露出不足
Indeed・求人ボックス(有料出稿)数万〜数十万円掲載費の投じ方と原稿の精度で大きく変動
整備士特化の求人サイト数十万円経験者に届くが、母集団は限られる
人材紹介50万〜120万円採用が決まるまで費用は発生しない

整備士は有効求人倍率が高いため、人材紹介の手数料も高くなりがちです。年収400万円で30%なら1名あたり120万円。2名採用すれば240万円になります。

一方、自社で募集する場合の費用は掲載費が中心です。月5万〜15万円程度の出稿で複数名を採用できれば、1名あたりの単価は大きく下がります。

ただしこれは原稿が整っていることが前提です。書き方を直さないまま広告費だけ増やしても、費用が消えるだけになります。費用の考え方は採用代行の費用相場|料金体系別の目安と一人あたりの採用単価で詳しく整理しています。

整備士の応募が来てから定着までにやること

応募が集まっても、その後の対応で決まらないことがあります。採用後の定着まで含めて設計してください。

応募が来てからが勝負になる

有効求人倍率4.99倍ということは、応募してきた整備士は他社にも応募しています。返信が遅れれば、その時点で候補から外れます。

  • 当日中に一次返信する誰が返信するかを決めておきます。定型文でよいので、まず返すことが重要です。
  • 面接の候補日をこちらから3つ出す「ご都合のよい日を教えてください」だとやり取りが増えます。先に候補を出すほうが早く決まります。
  • まず工場見学から入れる導線を作る「面接」はハードルが高くても、「見学だけ」なら来てもらえます。実際の作業環境を見てもらうほうが、中小工場には有利に働きます。
  • その場で条件を提示できる準備をしておく持ち帰って検討する間に他社が決まります。想定給与のレンジを事前に決めておいてください。

採用した整備士に定着してもらうために

採用できても半年で辞められては、また同じ苦労を繰り返すことになります。とくに未経験者を採用した場合、最初の3ヶ月が分かれ目です。

  • 教える人を明確に決める「みんなで見る」は誰も見ていない状態になりがちです。担当を1人決め、その人の業務時間に指導時間を織り込みます。
  • できるようになったことを言葉にする整備は上達が見えにくい仕事です。「先月より作業が15分早くなった」のように具体的に伝えると、続ける動機になります。
  • 資格取得のスケジュールを一緒に引く入社時に「1年後に3級、その3年後に2級を取る」という道筋を共有します。目標があると、日々の作業の意味が変わります。
  • 入社後1ヶ月・3ヶ月で面談する不満が出てから聞くのでは遅くなります。定着は採用活動の一部だと考えてください。

また、資格が必要な職種という点では歯科衛生士も同じ悩みを抱えています。ただしこちらは有資格者の半数以上が働いていないという事情があり、打ち手が変わります。歯科衛生士の採用が難しい理由|復職者に届く求人票の書き方もあわせてご覧ください。

それでも整備士が採用できないときは

ここまでやっても採れない場合、原因は限られています。数字で切り分けてから判断してください。

それでも整備士を採用できない場合の3つの根本原因

求人票を直し、媒体も整えた。それでも応募が来ない場合、原因は求人票の外にあります。

  1. 給与が地域の相場を明確に下回っている同じ地域の整備士求人を10件並べて、自社の位置を確認してください。下から数えたほうが早いなら、原稿では埋まりません。必要なのは条件の見直しです。
  2. 休日が業界内でも少ない整備業界は土日稼働が基本ですが、そのなかでも年間休日の差は大きくあります。105日を下回っているなら、求人票の工夫より休日制度の見直しが先です。
  3. 作業環境が古いまま空調のない工場、老朽化した設備、整理されていない工具。見学に来た求職者はここを見ています。設備投資は採用投資でもあります。

いずれも短期では変えられませんが、原因が分かっていれば手の打ちようがあります。求人票の書き方を延々と試すより、先に自社の位置を確認してください。

求人を直したあと、何を見て判断するか

求人票を直しても、すぐに応募が来るとは限りません。感覚で「効果がなかった」と判断せず、媒体の管理画面の数字を見てください。

  • 表示回数が増えたか職種名とエリア名を変えた効果はここに出ます。増えていなければ、まだ検索語と合っていないか、掲載費が足りていません。
  • クリック率が上がったか給与の下限や休日の書き方を変えた効果はここです。表示が同じでクリックが増えたなら、一覧での見え方が改善しています。
  • 応募率が上がったか仕事内容や資格取得支援を詳しく書いた効果はここに出ます。クリックはあるのに応募がないなら、詳細ページで離脱しています。

判断には最低でも2〜4週間必要です。1週間の数字で結論を出すと、たまたまの変動に振り回されます。

また、直すのは一度に1〜2箇所にしてください。同時に全部変えると、何が効いたのか分からなくなります。

同じ「現場職の採用が難しい」という構造は建設業にもあります。求人が止まる場所の見つけ方は建設業の求人に応募が来ない原因|3段階で切り分ける改善方法でも解説しています。

自社で回せないときは、採用代行という選択肢がある

ここまでの内容は、すべて自社で実行できます。ただ実際には、工場を回しながら毎週数字を見て原稿を直し続けるのは簡単ではありません。

採用代行(RPO)は、この「原稿を作り、掲載し、数字を見て直し続ける」部分を外に出すサービスです。

  • 向いているケース専任の採用担当がいない。工場長や社長が業務の合間に求人を見ている。複数店舗で募集している。人材紹介の手数料が重くなっている。
  • 向いていないケース給与や休日が地域の相場を下回っている(条件の見直しが先)。年に1名採用するかどうか(月額の固定費が割高になる)。応募者への返信を社内で回せない(母集団形成型の代行では応募後の対応は自社に残ります)。

採用代行の業務範囲や費用の考え方は、採用代行(RPO)とは?業務内容と費用相場、人材紹介との違いで整理しています。

整備士の募集での対応範囲は自動車整備士の採用代行サービスにまとめています。

よくある質問

未経験者を採用して、本当に戦力になりますか?

教育体制次第です。整備は資格と経験がものを言う仕事なので、一人前になるには年単位の時間がかかります。

ただし、洗車・納車準備・タイヤ交換・オイル交換といった作業は早い段階で任せられます。ベテランが本来の整備に集中できるようになるだけでも、工場全体の生産性は上がります。

給与を上げないと採用できませんか?

地域の相場を明確に下回っているなら、見直しが必要です。ただし相場並みであれば、給与以外の要素で選ばれることは十分にあります。

扱う車種の幅、任される範囲、資格取得支援、通勤のしやすさ、人間関係。整備士が転職先を選ぶ理由は給与だけではありません。

外国人材の採用は現実的ですか?

自動車整備分野は特定技能・技能実習の対象になっており、受け入れている工場もあります。

ただし在留資格の手続き、日本語でのコミュニケーション、住居の手配など、日本人の採用とは別の準備が必要です。まずは国内で母数を広げる余地がないか確認してからでも遅くありません。

求人を出す時期に良し悪しはありますか?

整備業界は車検の繁忙期(3月・9月)があるため、その直後に転職を考える人が増える傾向があります。ボーナス後の7月・12月も動きやすい時期です。

ただし通年で掲載しておくほうが確実です。掲載を止めると媒体内での評価が下がり、再開時に表示が戻るまで時間がかかります。

応募は来るのに、面接に来てくれません

応募から返信までの時間を確認してください。翌日以降になっている場合、その間に他社の面接が決まっています。

あわせて、いきなり面接ではなく「工場見学から」という入り方を用意すると、来てもらえる確率は上がります。

求人票に載せる写真は何を撮ればよいですか?

工場の外観だけでは伝わりません。リフトが並んだ作業スペース、整理された工具、実際に作業している様子、休憩スペースを撮ってください。

整備士は作業環境を見ています。設備が新しい、工具が整っている、明るいといった要素は、写真でしか伝わりません。スマートフォンで撮ったもので十分です。

1人しか採用枠がなくても採用代行は使えますか?

使えますが、費用対効果は慎重に判断してください。月額固定型は複数名を採用するほど1名あたりの単価が下がる仕組みです。

年に1名だけなら、人材紹介のほうが総額を抑えられる場合があります。ただし継続的に募集する予定があるなら、仕組みを作っておく価値はあります。

複数店舗で募集する場合、求人はまとめてよいですか?

分けてください。求職者は通勤圏で探すため、店舗ごとに勤務地を明記した求人が必要です。1つの求人に複数の勤務地を書くと、検索で絞り込まれにくくなります。

店舗ごとに設備や扱う車種が違うなら、その違いも書き分けたほうが効果は上がります。

まとめ:整備士の採用は、母数を広げて書いていないことを書く

整備士の採用が難しいのは、構造的な理由があります。有効求人倍率4.99倍、平均年齢47.2歳、整備学校の入学者は約20年で半減。経験者を待つ戦略は成り立ちません。

打ち手は2つに集約されます。採用対象を未経験・他業種・女性・シニアに広げること。そして、すでにやっているのに書いていないことを求人票に書くことです。

給与の内訳、年間休日の日数、資格取得支援の金額、設備と工具、教える人の存在。これらは条件を変えずに今日から直せます。

大手ディーラーと同じ土俵で戦う必要はありません。幅広い車種に触れられること、一通り任されること、転勤がないこと。中小の整備工場にしかない価値を、具体的な言葉にしてください。

私たちが運営する採用コミットは、この「原稿を作って、掲載して、数字を見て直し続ける」部分を引き受ける月額定額の採用代行です。料金は初期費用10万円・月額10万円〜、成果報酬0円、採用人数の上限なし(税別・最低契約期間3ヶ月)。面接と採否の判断はお客さまに残ります。

ただし、給与や休日が地域の相場を下回っている場合は、代行を入れても応募は増えません。そのときは「まず条件を見直したほうがよい」と正直にお伝えします。現在の求人を見せていただければ、どこで止まっているのかだけでも判断できます。

出典

  • 国土交通省「自動車整備士の確保・育成に係る課題とこれまでの取組」(https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001877732.pdf)確認日 2026年9月9日。有効求人倍率は厚生労働省「職業安定業務統計」、整備要員数・平均年齢は(一社)日本自動車整備振興会連合会「自動車整備白書」、入学者数は全国自動車大学校・整備専門学校協会、保有台数は(一財)自動車検査登録情報協会の数値を同資料がまとめたもの
  • 国土交通省「自動車整備要員の人材確保・育成について」(https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk9_000043.html)確認日 2026年9月9日

本記事は株式会社Abey(採用代行サービス「採用コミット」運営)が制作しました。統計値は上記出典の公表値をそのまま引用し、確認日を併記しています。求人票の改善に関する記述は当社の実務経験に基づくもので、応募数の増加や採用成立を保証するものではありません。

職種を問わない共通の原因と直し方は、採用が難しい理由と対策|求人を出しても応募が来ない原因の切り分け方で整理しています。職種ごとの有効求人倍率の差も、そこで確認できます。

この記事を書いた人

弓川堅士のアバター 弓川堅士 代表取締役

長崎大学卒業後、上場企業グループ会社の事業部長を経て、株式会社Abeyを創業。
月10万円からの採用業務代行サービス「採用コミット」を立ち上げ、主に中小企業の中途採用(正社員・業務委託採用)を母集団形成から支援。

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