看護師の採用単価|紹介手数料の相場83万円と中途採用の離職率

看護師を人材紹介で採用したときに実際に支払われた手数料は、全国平均で1人63万9千円です(厚生労働省・令和5年度実績)。常勤の看護師に限れば、業界調査で83万3,207円という数字が出ています。
ただし採用単価を手数料の額だけで見ると、看護師採用のいちばん重いコストを見落とします。既卒採用者、つまり中途で入った看護職員の離職率は16.1%。新卒の8.8%の倍近くあります。
この記事では、公的統計と業界調査から看護師の採用単価を実額で押さえ、そのうえで「払った手数料が1年後にどれだけ残っているか」という観点で費用を組み直す方法を整理します。
この記事の要点
看護師の紹介手数料は、厚労省の実績で全国平均63万9千円、常勤に絞った業界調査では83万3,207円。最高額は201万円でした。
- 中途で採った人ほど辞めている既卒採用者の離職率16.1%は新卒8.8%の約1.8倍。医療法人なら18.2%です。
- 実質の単価は約102万円離職率18.2%を織り込んだ、1年後に残る1名あたりの費用です。
- 返金は3か月で効かなくなる3か月超〜半年で辞められると、45.7%の施設が返金ゼロ。
単価は「払った額」ではなく「1年後に残っている1名あたりの額」で数えます。
看護師の採用単価は、手法によって0円から83万円まで分かれる
| 手法 | 1名あたりの費用目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| ハローワーク | 0円 | 掲載費はかからない。地元・復職層に届く |
| 無料媒体(エンゲージ・Airワーク) | 0円 | 採用ページを無料で作れる。単体では露出が不足する |
| Indeed・求人ボックス(有料出稿) | 数万〜数十万円 | 准看護師・パート・復職層まで届く。原稿の精度で大きく変動 |
| 看護特化の求人サイト | 数十万円〜 | 有資格者に届く。成功報酬型が中心 |
| 人材紹介(全国平均・常用就職) | 63万9千円 | 厚生労働省が公表する実額。パート・有期を含む |
| 人材紹介(常勤・看護師) | 83万3,207円 | 業界調査の実額。最高201万円 |
クリニック全体の職種別の考え方はクリニックの採用コスト|職種別の相場と一人当たりの削減方法をご覧ください。
看護師の紹介手数料は「常勤」で83万円
看護の実額平均は63万9千円(厚生労働省)
厚生労働省は、医療・介護・保育分野について、職業紹介事業者に実際に支払われた手数料の平均額を職種別に公表しています。令和5年度実績で看護は63万9千円。医師の82万4千円に次ぐ水準です。

この数字の集計対象は常用就職(無期雇用または4ヶ月以上の期間を定めて雇用される者)で、パート・非常勤の紹介も含まれています。常勤のフルタイム1名に絞れば、実際の請求額はこれより高く出ます。
常勤の看護師に絞ると83万3,207円、最高は201万円
全国老人福祉施設協議会が会員施設2,002件から回答を得た「令和5年度 人材紹介手数料実態調査」には、看護職員の雇用条件別の内訳があります。

| 雇用条件 | 施設数 | 採用人数 | 1人あたり平均手数料 |
|---|---|---|---|
| 常勤・看護師 | 186施設 | 265人 | 833,207円 |
| 常勤・准看護師 | 65施設 | 78人 | 807,221円 |
| 非常勤・看護師 | 64施設 | 86人 | 444,627円 |
| 非常勤・准看護師 | 26施設 | 31人 | 377,813円 |
常勤・看護師の平均は83万3,207円で、最高額は201万円。看護職員(常勤・非常勤、看護師・准看護師)を紹介で採用した366施設のうち、50施設(13.6%)で1人あたり100万円以上を支払っていました。
注意点として、この調査の回答者は高齢者福祉施設です。特別養護老人ホームや介護施設の看護職員採用の数字であり、急性期病院の看護師採用とは条件が異なります。ただし常勤・非常勤の差や、准看護師との価格差の構造は病院・クリニックでも共通します。
看護師の平均賃金は、きまって支給する現金給与額が月36万5,900円、年間賞与その他特別給与額が85万6,400円です(令和7年賃金構造基本統計調査)。年収に換算すると約524万7千円で、83万3,207円はその約16%にあたります。看護師の紹介手数料としてよく挙げられる「年収の20〜35%」より低く出るのは、施設看護職員の年収が病院勤務より低めであることや、非常勤を含む契約条件の違いによるものです。
同じ調査では介護職員の手数料も集計されています。常勤・介護福祉士ありで89万1,373円と看護師より高く、退職者の57.4%が半年以内でした。詳しくは介護の採用単価|紹介手数料の相場89万円と返金されない3か月の壁で解説しています。
中途で採った看護師は、新卒の倍の割合で辞めている
採用単価を1年単位で見ると、離職率を無視できません。日本看護協会が3,346病院から回答を得た「2024年 病院看護実態調査」によると、2023年度の離職率は次のとおりです。

正規雇用看護職員の離職率は11.3%、新卒採用者は8.8%、そして既卒採用者は16.1%です。中途採用で入った看護職員のほうが、新卒より辞める割合が高くなっています。
紹介会社を使って採用するのは、ほとんどが既卒=中途です。つまり手数料を払って採用した層こそ、最も離職率が高い層だということになります。
看護師の既卒離職率は設置主体で2.6倍違う

既卒採用者の離職率は、公立の9.3%に対し個人立が24.4%と2.6倍の開きがあります。回答病院の過半を占める医療法人は18.2%でした。
医療法人立の病院・クリニックで、紹介手数料83万円を払って中途の看護師を1名採用した場合、単純計算で5〜6人に1人は1年以内に辞めていくことになります。採用単価を「1年後も在籍している1名あたりの費用」で捉え直すと、83万円÷(1-0.182)=約102万円という見方になります。
なお、日本看護協会の最新調査(2025年病院看護実態調査、2026年3月31日公表)でも既卒採用者の離職率は16.1%で横ばい、正規雇用看護職員は11.0%と報告されています。
全国老人福祉施設協議会の同じ実態調査では介護職員の実態も集計されています。紹介を使うべきかどうかの判断軸は介護の人材紹介|手数料の相場89万円と使わなくていいケースで整理しました。
看護師が早期に辞めても、手数料はあまり返ってこない
返戻金規定があるから安心、とは言えません。前出の実態調査には、退職までの在職期間ごとに実際いくら返金されたかの分布があります。

- 1か月以内に退職返金0%は26施設中5施設(19.2%)。50%以上返ったのは14施設(53.8%)。
- 1か月超〜3か月以内返金0%が34施設中11施設(32.4%)。
- 3か月超〜半年以内返金0%が35施設中16施設(45.7%)。
- 半年超返金0%が77施設中72施設(93.5%)。ほぼ返らない領域です。
同じ調査で、紹介経由で採用した看護職員のうち退職した218人を見ると、115人(52.7%)が半年以内の退職でした。辞められやすい時期と、返金が効かなくなる時期が重なっています。
契約前には、返金の対象期間と逓減の刻み、現金返金か代替紹介か、自己都合退職に限るか、そして手数料表の提示の4点を確認してください。有料職業紹介の手数料は、厚生労働大臣に届け出た手数料表の範囲を超えて請求できません。
同じ医療分野の資格職では、歯科衛生士に未就業者が約17万人いるという事情があります。詳しくは歯科衛生士の採用単価|紹介手数料の相場119万円と復職者の採り方で解説しています。
自院募集に切り替えたときの看護師の採用単価
自院募集の単価は、4つの段階に分解すると改善点が見えます。
- クリック単価が高い媒体の設定か原稿のタイトルの問題です。「看護師」だけでなく、診療科・病棟か外来か・夜勤の有無・最寄り駅が、求職者の検索語と合っているかを見ます。
- 応募単価が高い(クリックはあるのに応募が少ない)原稿の中身か応募フォームの問題です。夜勤の回数と手当額、オンコールの有無、配置人数、託児所の有無、有給の取得実績など、看護師が転職時に必ず確認する条件が書かれているかを見ます。
- 面接単価が高い(応募はあるのに面接に至らない)一次返信の速さと日程調整の問題です。看護師は在職中に探していることが多く、返信が翌日以降になると他院に流れます。
- 採用単価が高い(面接はしているが決まらない)選考基準か提示条件の折り合いです。ブランクあり・時短・パートまで対象を広げられるかで母集団が変わります。
訪問看護ステーションでの看護師募集は訪問看護ステーションの採用代行サービスで扱っています。
看護師の採用単価を年間総額で比べると、逆転点は「年2名」
紹介手数料を常勤・看護師の83万3,207円、自院募集を「採用代行の月額10万円+初期費用10万円+掲載費 月3万円」で1年間続けた場合(合計166万円)で比べます。
| 年間の採用人数 | 人材紹介(83.3万円×人数) | 自院募集+採用代行(年166万円) | 安いほう |
|---|---|---|---|
| 1名 | 83.3万円 | 166万円 | 人材紹介 |
| 2名 | 166.6万円 | 166万円 | ほぼ同額(分岐点) |
| 3名 | 249.9万円 | 166万円 | 自院募集+採用代行 |
| 5名 | 416.5万円 | 166万円 | 自院募集+採用代行 |
| 8名 | 666.4万円 | 166万円 | 自院募集+採用代行 |
分岐点は年2名で、3名以上なら自院募集のほうが明確に安くなります。厚生労働省の平均額63万9千円を基準にした場合は、逆転点は年3名です。
この計算は掲載費を月3万円と置いた場合のものです。地域や診療科の競合状況で掲載費は変わります。費用の考え方そのものは採用代行の費用相場|料金体系別の目安と一人あたりの採用単価で整理しています。
看護師の採用単価を下げる順番
- 1. 応募から面接までの歩留まりを直す(費用0円・即効)看護師は在職中に探しています。応募当日の返信、夜間・休日でも予約できる見学枠、日程候補を3つ以上出すこと。ここは1円もかけずに効きます。
- 2. 求人原稿に「条件」を書き切る(費用0円)夜勤の回数と手当額、オンコールの回数、看護配置、受け持ち人数、託児所、有給取得の実績。書かないと「聞かないと分からない求人」として飛ばされます。
- 3. 対象を広げる(費用0円)ブランクあり、時短、パート、准看護師、日勤のみ。要件を1つ外すだけで母集団は大きく変わります。
- 4. 媒体の配分を見直す(費用の組み替え)復職層やパートを狙うならIndeedや求人ボックス、常勤の有資格者を狙うならジョブメドレーや看護特化サイト。媒体ごとにクリック単価と応募単価を比べて配分します。
- 5. 掲載費の総額を見直す(最後)1〜4をやらずに掲載費だけ増やしても費用が消えるだけです。
これを看護部長や事務長が本業と並行して回すのは現実には難しいところです。私たちが提供している看護師の採用代行(月額10万円〜)は、原稿制作と媒体運用、週次の改善までを引き受けます。応募者への返信・面接・採否の判断は病院・クリニック側に残ります。
他職種との比較は採用単価とは?計算方法と職種別の相場、平均の見方に17職種の相場を一覧化しています。
看護師の採用単価についてよくある質問
看護師の採用単価の平均はいくらですか?
人材紹介の場合、厚生労働省が公表する全国平均は63万9千円(令和5年度実績・パートを含む常用就職ベース)、常勤の看護師に絞った業界調査では83万3,207円です。
求人広告は掲載費の投じ方で数万円から数十万円、ハローワークや無料媒体は0円です。「平均いくら」を比べるときは、常勤か非常勤かを必ず揃えてください。
准看護師なら手数料は安くなりますか?
調査では常勤・看護師83万3,207円に対し常勤・准看護師80万7,221円で、差は約2万6千円しかありません。資格による価格差は、介護職(介護福祉士ありと資格なしで約22万円差)ほど大きくないのが実態です。
一方で雇用形態の差は大きく、非常勤なら37万〜44万円台に下がります。
看護師の紹介手数料は交渉できますか?
紹介会社が厚生労働大臣に届け出た手数料表の範囲内であれば、料率や支払条件を相談する余地はあります。
ただし看護師採用では、値下げ交渉よりも返戻金規定を詰めるほうが効きます。調査では3か月超〜半年で辞められた場合、45.7%の施設が返金ゼロでした。
中途採用の看護師が定着しません。採用の問題ですか?
既卒採用者の離職率は全体で16.1%、医療法人では18.2%と、新卒の8.8%を大きく上回ります。ただし公立は9.3%です。
同じ「中途採用」でも設置主体によって2.6倍の差がある以上、個人の資質ではなく受け入れ体制の問題として見るのが妥当です。求人票に書いた条件と実際の配置・夜勤回数がずれていないかを、まず確認してください。
まとめ:看護師の採用単価は「1年後に残っている1名」で数える
看護師の紹介手数料は、厚生労働省の実績で63万9千円、常勤に絞った業界調査では83万3,207円。最高額は201万円で、看護職員を紹介で採用した施設の13.6%が100万円以上を支払っていました。
そのうえで、既卒採用者の離職率は16.1%、医療法人では18.2%。手数料を払って採用する層が、最も辞めやすい層です。返金は3か月を超えるとほとんど効きません。単価は「払った額」ではなく「1年後に残っている1名あたりの額」で数えるべきです。
年2名以上の採用があるなら、自院で母集団を作れる状態にしたほうが総額は下がる計算になります。
私たちが運営する採用コミットは、株式会社Abeyが提供する月額定額の採用代行です。求人原稿の制作からIndeed・求人ボックス・ジョブメドレー等の媒体運用、週次レポートまでを担い、応募者への返信・面接・採否の判断は病院・クリニック側に残します。料金は初期費用10万円・月額10万円〜、成果報酬0円、採用人数の上限なし(税別・最低契約期間3ヶ月・媒体掲載費は別途)。何人採用しても月額は変わりません。
医療機関向けの支援内容は看護師の採用代行のページに、プランごとの詳細は料金プランのページに掲載しています。
応募が止まっている場所を先に特定しておくと、無駄な出稿を避けられます。切り分けの手順は採用が難しい理由と対策|求人を出しても応募が来ない原因の切り分け方にまとめました。
出典
- 公益社団法人 日本看護協会「2024年 病院看護実態調査」報告書(日本看護協会調査研究報告 No.101。離職率は2023年度実績、回答3,346病院)(https://www.nurse.or.jp/nursing/assets/101.pdf)確認日 2026年9月9日
- 公益社団法人 全国老人福祉施設協議会 介護人材対策委員会「令和5年度 人材紹介手数料実態調査報告」(有効回答2,002施設/退職状況の対象期間は令和4年4月〜令和5年3月)(調査結果報告書 PDF)確認日 2026年9月9日
- 厚生労働省「地域ブロック別の職種別平均手数料及び離職率について」(平均手数料額は令和5年度実績)(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/36163_00001.html)確認日 2026年9月9日
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種(小分類)第1表(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2025/index.html)確認日 2026年9月9日
- 労働政策研究・研修機構「正規雇用看護職員の離職率は11.0%/日本看護協会調査」(2026年4月8日。日本看護協会「2025年病院看護実態調査」2026年3月31日公表の報道)(https://www.jil.go.jp/kokunai/topics/mm/20260408b.html)確認日 2026年9月9日
本記事は株式会社Abey(採用代行サービス「採用コミット」運営)が制作しました。手数料額・離職率・返金率・賃金の数値は上記の原典を確認したうえで記載し、調査名と年度、確認日を併記しています。返金率0%の施設割合は報告書の在職期間別・返金率別の施設数から当社が算出しました。2025年病院看護実態調査の数値のみ、労働政策研究・研修機構による報道を出典としています。年収の換算額および年間費用の比較(掲載費を月3万円と仮定)は当社による試算であり、地域・診療科・募集条件により変動します。人材紹介手数料の実態調査は高齢者福祉施設を対象としたものであり、急性期病院の看護師採用とは条件が異なります。
