エンジニアの採用が難しい理由|求人倍率1.39倍でも決まらない原因

エンジニア採用が難しい理由は、「人がいないから」ではありません。情報処理・通信技術者の有効求人倍率は1.39倍。全職業平均1.10倍とほぼ変わらず、建設の5.65倍や介護の3.63倍よりも低い水準です。
しかも直近1年で求人は9.2%減り、求職者は5.0%増えました。市場は明らかに緩んでいます。それなのに就職件数は9.4%減っています。
会う機会は増えているのに、決まる数は減っている。この記事では、その原因を3つに切り分けて、求人票のどこを直せばいいかまで具体的に整理します。
この記事の要点
エンジニア採用の問題は母集団ではなく成立率です。有効求職者は36,127人いて、紹介件数は前年から12.3%増えています。それでも就職件数は9.4%減りました。
- 成立率は7.3%紹介6,313件に対し就職は461件。職業計の32.5%と比べて4分の1以下です。
- 最大の原因は年収の壁システムコンサルタント・設計者は、1,000人以上で1,010.4万円、10〜99人で585.1万円。差は425.3万円あります。
- 要件を絞ると母集団は戻る実装層・社内SE・未経験の育成枠まで広げれば、求人媒体でも母集団は作れます。
「採れない」のではなく「その要件と条件では決まらない」。まず距離を測るところからです。
エンジニアの採用市場は、実は緩んでいる
「エンジニアは引く手あまたで採れない」という前提から入ると、打ち手を間違えます。職業別の統計を見てください。
| 項目 | 情報処理・通信技術者 | 職業計 |
|---|---|---|
| 有効求人倍率 | 1.39倍 | 1.10倍 |
| 有効求人数 | 50,307件 | 2,073,013件 |
| 有効求職者数 | 36,127人 | 1,888,788人 |
| 紹介件数(月) | 6,313件 | 352,962件 |
| 就職件数(月) | 461件 | 114,632件 |
有効求人倍率1.39倍は、建設・土木の5.65倍、建設躯体工事の7.35倍、介護の3.63倍、電気工事の3.32倍と比べれば低い水準です。求職者は36,127人います。
求人は減り、求職者は増えている

直近1年の変化です。新規求人は16.3%減、有効求人は9.2%減。一方で新規求職は14.6%増、有効求職は5.0%増。企業側の募集が減り、転職を考えるエンジニアが増えています。
職業計の変化(新規求人2.9%減、新規求職4.7%増)と比べても、エンジニアの動きは大きくなっています。需給という意味では、明らかに採りやすくなっている方向です。
それでも決まらない:紹介12.3%増に対し、就職は9.4%減
同じグラフの右側と左側を見比べてください。紹介件数は12.3%増えています。求職者が増えた分、企業と会う機会も増えました。
にもかかわらず就職件数は9.4%減りました。会う回数が増えて、決まる数が減っている。これがエンジニア採用の現状です。
| 項目 | 情報処理・通信技術者 | 職業計 |
|---|---|---|
| 紹介件数(月) | 6,313件 | 352,962件 |
| 就職件数(月) | 461件 | 114,632件 |
| 成立率 | 7.3% | 32.5% |
紹介まで進んだうち、就職に至ったのは7.3%。職業計の32.5%と比べて4分の1以下です。母集団を増やす施策をいくら打っても、同じ場所で落ち続けます。
結果として、いま出ている有効求人50,307件が埋まるまで109か月かかる計算になります。相場と費用の面からの整理はエンジニア採用の費用|職種別の相場と成立率7.3%の壁にまとめました。
折り合わない3つの理由
理由①:年収の壁が425万円ある
| 職種 | 1,000人以上 | 10〜99人 | 差 |
|---|---|---|---|
| システムコンサルタント・設計者 | 1,010.4万円 | 585.1万円 | 425.3万円 |
| ソフトウェア作成者 | 640.9万円 | 518.2万円 | 122.7万円 |
| その他の情報処理・通信技術者 | 639.4万円 | 523.2万円 | 116.2万円 |
上流の設計・コンサル層では、大企業と中小企業で425.3万円の差があります。この層を中小企業の提示額で募集しても、賃金で比較された時点で終わります。
一方、実装を担うソフトウェア作成者の差は122.7万円。上流ほど極端ではありません。どの層を狙うかで、勝負になるかどうかが決まります。
理由②:要件が「何でもできる人」になっている
中小企業の求人でよく見るのが、1人に多くを求める要件です。設計もできて、実装もできて、インフラも見られて、若手の指導もできる。
この条件を満たす人は大企業で1,000万円前後を得ています。要件を足すほど、対象は年収の高い層に寄っていきます。そして提示額とのギャップが広がります。
要件は足し算ではなく引き算です。「この人がいないと業務が止まる」ものだけを必須にし、残りは歓迎要件に落としてください。
理由③:選考が遅い
エンジニアは在職中に複数社を並行して受けています。応募から一次面接まで2週間かかる会社と、3日で会える会社では、後者が先に内定を出します。
ここは組織が小さいほど有利に働きます。決裁者が面接に出られる、その場で次の日程を決められる。大企業が構造的に真似できない部分です。
エンジニアが求人票で見ている7項目
「モダンな環境」「裁量のある開発」といった抽象語は、どの会社の求人にも書いてあります。書くべきは事実です。
- 1. 使用技術とバージョン言語だけでなくフレームワーク、バージョン、インフラ、CI/CDの有無まで。バージョンが古いなら、それを隠さず「移行を計画中」と書くほうが信頼されます。
- 2. 開発体制の人数と構成チームが何人か、エンジニアは何人か、PMやデザイナーはいるか。1人目のエンジニアなのか、10人の中の1人なのかで応募者の判断は変わります。
- 3. 設計から関われるか要件定義・設計に入れるのか、実装だけなのか。上流に関わりたい層にとって最大の判断材料です。
- 4. 新規開発か、既存改修か比率を書きます。既存改修が中心でも、それを求める人はいます。書かないと新規開発だと思われ、入社後にずれます。
- 5. リモートの可否と頻度「リモート可」だけでは不十分です。週何日か、フルリモートか、入社直後は出社かを明記します。
- 6. 労働時間の実績裁量労働制かどうか、みなし残業の時間数、実際の残業時間。制度名だけ書いて実績を書かない求人は警戒されます。
- 7. 学習・技術投資の支援技術書の購入、カンファレンス参加費、資格取得支援。金額まで書くと具体性が出ます。
この7項目は、どれも自社の事実を書くだけで、追加の費用はかかりません。成立率7.3%という数字は、会ってから条件のずれが露見していることを示しています。求人票の段階で開示しておけば、ずれた応募が減り、決まる率が上がります。
対象を広げる4つの方向
- 実装層に絞るソフトウェア作成者は81万7,860人と母数が大きく、企業規模による年収差も122.7万円に収まります。設計は社内で持ち、実装を任せる形にできるなら、ここが最も現実的です。
- 社内SE・情報システム担当として募集する開発会社ではなく事業会社であれば、この枠のほうが響く層がいます。自社サービスに長く関われること、上流から入れることが訴求になります。
- 未経験・第二新卒を育てるスクール卒や独学で学んだ層は継続的に供給されています。教える体制と、最初の半年で任せる範囲を決められるかが前提です。
- 業務委託・副業から始める正社員での転職は決断が重くても、副業なら応募のハードルが下がります。実際に一緒に働いてから正社員化を打診する順序も取れます。
いずれも「上流の即戦力を1名」という要件を外す方向です。市場に3万6千人の求職者がいる以上、要件を調整すれば母集団は作れます。
エンジニアの求人をどこに出すか
| 媒体 | 掲載費 | 向いている使い方 |
|---|---|---|
| Indeed | 無料掲載可/有料出稿で露出増 | 母数が大きい。実装層・社内SE・未経験に届く |
| 求人ボックス | 無料掲載可/有料出稿あり | Indeedと併用。クリック単価を比較して配分 |
| エンジニア特化の求人サイト | 有料または成功報酬 | 経験者に届くが母集団は限られ、単価が跳ねやすい |
| ダイレクトリクルーティング | 利用料+成功報酬 | 能動的に探せる。ただし返信率と工数の負担が大きい |
| エンゲージ・Airワーク | 無料 | 採用ページを無料で作り、Indeed等へ連携 |
| 人材紹介 | 理論年収の25〜35% | 上流の設計・コンサル層はここが現実的 |
実装層や社内SE、未経験の育成枠を狙うなら、まずエンゲージやAirワークで採用ページを整え、Indeedに少額から出稿する組み合わせが現実的です。掲載費をかける前に、前章の7項目を書き切っておいてください。
手法ごとの費用差は大きく、求人情報まとめサイトの平均は6.4万円、民間職業紹介事業者は85.1万円です(厚生労働省)。詳しくは採用コスト削減の方法|手法別の相場と一人当たりを下げる順番で整理しています。
媒体の選定から運用までまとめて任せたい場合はエンジニアの採用代行サービスをご覧ください。
Webデザイナー・UIデザイナーの募集はデザイナーの採用代行で扱っています。
エンジニアの採用が難しいことについてよくある質問
エンジニアの採用が難しいのは人手不足だからですか?
統計で見る限り、それだけでは説明できません。有効求人倍率は1.39倍(令和8年3月)で全職業平均1.10倍とほぼ同じ。建設5.65倍・介護3.63倍より低く、有効求職者は36,127人います。
直近1年では求人が9.2%減り求職者が5.0%増えています。市場は緩んでいるのに就職件数は9.4%減りました。母集団ではなく成立率の問題です。
中小企業でもエンジニアを採用できますか?
狙う層によります。システムコンサルタント・設計者は企業規模で425.3万円の年収差があり、賃金で比較されると勝負になりません。
一方でソフトウェア作成者の差は122.7万円で、母数も81万人以上あります。実装層・社内SE・未経験の育成枠であれば、中小企業でも十分に採用できます。
求人票に何を書けば応募が増えますか?
使用技術とバージョン、開発体制の人数、設計から関われるか、新規開発と既存改修の比率、リモートの可否と頻度、労働時間の実績、学習支援の7項目です。
いずれも自社の事実を書くだけで費用はかかりません。「モダンな環境」「裁量あり」といった抽象語は、どの求人にも書いてあるため判断材料になりません。
未経験エンジニアを採用しても大丈夫ですか?
教える体制があるかどうかで決まります。誰が、どれくらいの時間を使って教えるのか。最初の半年で任せる範囲をどこまでにするのか。ここが決まっていないまま採用すると、早期離職につながります。
逆に体制を用意できるなら、母集団は大きく広がります。スクール卒や独学の層は継続的に供給されており、上流の即戦力を待つより確実です。
まとめ:採れないのではなく、その条件では決まらない
エンジニアの有効求人倍率は1.39倍で、求職者は36,127人います。直近1年で求人は9.2%減り、求職者は5.0%増えました。市場は緩んでいます。
それでも就職件数は9.4%減り、紹介6,313件に対し就職は461件、成立率7.3%。問題は会う前ではなく、会ったあとにあります。
原因は年収の壁(上流層で425.3万円差)、足し算になった要件、選考の遅さの3つ。要件を引き算し、7項目を求人票に書き切り、実装層まで対象を広げる。この順番で母集団は戻ります。
私たちが運営する採用コミットは、株式会社Abeyが提供する月額定額の採用代行です。求人原稿の制作からIndeed・求人ボックス・エンゲージ・Airワーク等の媒体運用、週次レポートまでを担い、応募者への返信・面接・採否の判断は自社に残ります。料金は初期費用10万円・月額10万円〜、成果報酬0円、採用人数の上限なし(税別・最低契約期間3ヶ月・媒体掲載費は別途)。
プランごとの詳細は料金プランのページに掲載しています。エンジニアは狙う層によって媒体で採れるかどうかが分かれるため、まず「その要件で母集団が作れるか」を正直にお伝えします。難しい場合はその理由もお伝えします。
職種を問わず応募が止まっている場所を切り分ける手順は、採用が難しい理由と対策|求人を出しても応募が来ない原因の切り分け方にまとめました。
出典
- 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年3月分及び令和7年度分)」参考統計表6・7-1(全国計・常用(パート含む)・8年3月)(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_72811.html)確認日 2026年9月11日
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種(小分類)第1表(企業規模別)(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2025/index.html)確認日 2026年9月11日
- 厚生労働省「令和3年度厚生労働省委託調査 採用における人材サービスの利用に関するアンケート調査 報告書」(令和4年3月)(https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000956216.pdf)確認日 2026年9月11日
本記事は株式会社Abey(採用代行サービス「採用コミット」運営)が制作しました。有効求人倍率・求人数・求職者数・紹介件数・就職件数・対前年同月比・賃金の数値は上記の原表を確認したうえで記載し、調査名と時点、確認日を併記しています。成立率(就職件数÷紹介件数)と推定年収(きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額)、企業規模間の年収差は当社による算出です。「情報処理・通信技術者」は職業分類であり、特定の技術領域だけを抜き出した数値ではありません。求人票に関する記述は当社の実務経験に基づくもので、効果を保証するものではありません。
