クリニックの採用コスト|職種別の相場と一人当たりの削減方法

クリニックの採用コストは、職種によって101万円から454万円まで4.5倍の開きがあります。紹介手数料は理論年収に料率を掛けて決まるため、医師と看護助手では同じ「1名採用」でも金額がまったく違います。

さらに重要なのが採用難易度です。医療技術者の有効求人倍率は3.19倍ですが、事務は0.37倍。同じ院内でも9倍近い差があります。事務職は求職者のほうが3倍近く多い、つまり「募集すれば集まる」職種です。

この記事では、クリニックの採用コストを職種ごとに分解し、どこに費用をかけ、どこを自院募集に切り替えるべきかを整理します。

この記事の要点

クリニックの採用コストは職種によって101万円から454万円まで4.5倍の開き。採用難易度も医療技術者3.19倍に対し事務0.37倍と、同じ院内で9倍近い差があります。

  • 最も削りやすいのは事務・受付求人1件に求職者が約2.7人。紹介手数料106万円を払う必要はありません。
  • 紹介を残すべき職種医師・薬剤師・医療技術者。母集団が小さく媒体では届きにくい職種です。
  • 実績値と理論値の差厚労省の実績平均は医師82.4万円・看護63.9万円。パートを含むため低く出ます。

「クリニックの採用をどうするか」ではなく「この職種をどう採るか」で分けます。

弓川堅士

弓川堅士

株式会社Abey
代表取締役

この記事の監修者

長崎大学卒業後、上場企業グループ会社の事業部長として組織づくり・採用業務を担い、株式会社Abeyを創業。
月10万円からの採用業務代行サービス「採用コミット」を立ち上げ、主に中小企業の中途採用(正社員・業務委託採用)を母集団形成から支援。現場で日々採用に向き合っている実務者の視点から、本記事の内容を監修しています。

目次

クリニックの採用コストは、職種で4.5倍違う

紹介手数料は「理論年収 × 料率」で決まります。クリニックで働く職種の推定年収に料率30%を掛けると、次のようになります。

クリニックの職種別紹介手数料の目安を示した横棒グラフ。医師453.7万円、歯科医師318.8万円、薬剤師170.0万円、看護師157.4万円、看護助手101.1万円
推定年収に料率30%を掛けた試算。医師と看護助手では4.5倍の差がある
職種推定年収料率25%料率30%料率35%
医師1,512.3万円378.1万円453.7万円529.3万円
歯科医師1,062.7万円265.7万円318.8万円371.9万円
薬剤師566.8万円141.7万円170.0万円198.4万円
看護師524.7万円131.2万円157.4万円183.6万円
准看護師427.5万円106.9万円128.3万円149.6万円
歯科衛生士396.0万円99.0万円118.8万円138.6万円
受付・案内事務員353.4万円88.4万円106.0万円123.7万円
看護助手337.1万円84.3万円101.1万円118.0万円

医師1名で453.7万円、看護助手1名で101.1万円。「クリニックの採用コストの相場」という一つの数字は存在しません。職種を揃えずに比較しても意味がないということです。

医師・看護師は、実績値のほうが低い

上の表は年収から逆算した理論値です。医療分野については、厚生労働省が実際に支払われた手数料の平均額を公表しています。令和5年度実績で医師82.4万円、看護63.9万円でした。

理論値と大きく開くのは、この統計の対象が常用就職(無期雇用または4ヶ月以上の有期)で、パート・非常勤の紹介も含まれるためです。非常勤の医師や看護師の紹介が数字を押し下げています。

常勤のフルタイム1名に絞れば、理論値のほうが実態に近くなります。見積もりを比べるときは、常勤か非常勤かを必ず揃えてください。

介護施設の職種については介護の採用単価|紹介手数料の相場89万円と返金されない3か月の壁をご覧ください。

クリニックの院内でも、採用難易度は9倍違う

費用の話と同じくらい重要なのが、そもそも採れるかどうかです。職業別の有効求人倍率を見ると、院内の職種でも状況がまったく違います。

クリニック関連職種の有効求人倍率の棒グラフ。一般事務0.37倍、職業計1.10倍、看護師等2.12倍、医療技術者3.19倍
医療技術者3.19倍に対し、事務は0.37倍。同じ院内で9倍近い差(令和8年3月・常用パート含む)
職業分類有効求人倍率状況
一般事務従事者(受付・医療事務)0.37倍求職者が求人の約2.7倍。募集すれば集まる
(参考)職業計1.10倍ー
その他の保健医療従事者1.72倍やや売り手市場
医師、歯科医師、獣医師、薬剤師1.97倍母集団そのものが小さい
保健師、助産師、看護師2.12倍売り手市場
保健医療サービス職業従事者(看護助手等)2.68倍売り手市場
医療技術者3.19倍最も採りにくい

注目すべきは事務です。0.37倍ということは、求人1件に対して求職者が約2.7人いる状態。医療事務や受付は、条件を整えて募集を出せば応募が集まる職種です。

それにもかかわらず、事務職を人材紹介で採用すると106万円かかります。ここは、クリニックの採用コストで最も削りやすい部分です。

医療以外も含めた職種別の相場は採用単価とは?計算方法と職種別の相場、平均の見方に一覧化しています。

職種ごとに手段を分けると、クリニックの採用コストは下がる

「クリニックの採用をどうするか」ではなく、「この職種をどう採るか」で分けます。費用と難易度の組み合わせで、打ち手は3つに整理できます。

  • ①自院募集に切り替える職種(受付・医療事務・看護助手)有効求人倍率が低く、資格要件も緩い職種です。ここを紹介で採ると1名100万円前後かかりますが、求人媒体なら数万円で母集団が作れます。最も費用対効果の高い切り替え先です。
  • ②自院募集を軸に、紹介を併用する職種(看護師・准看護師・歯科衛生士)売り手市場ですが、パート・時短・復職層まで対象を広げれば媒体で母集団が作れます。常勤の経験者だけを急ぐ場合は紹介も併用します。
  • ③紹介を残す職種(医師・薬剤師・医療技術者)母集団そのものが小さく、媒体では届きにくい職種です。手数料は高額ですが、採用頻度が低いため年間コストへの影響は限定的です。

すべての職種を紹介に任せると、年間の採用コストは一気に膨らみます。受付1名・看護助手1名・看護師1名を紹介で採ると、それだけで364.5万円です。

複数職種の募集をまとめて任せる場合の対応範囲は医療機関・クリニックの採用代行サービスでご案内しています。

クリニックの採用コストを年間総額で比べると、逆転点は「年2名」

自院募集を「採用代行の月額10万円+初期費用10万円+掲載費 月3万円」で1年間続けた場合(合計166万円)と比べます。職種によって逆転点が変わります。

職種紹介手数料(料率30%)自院募集166万円との逆転点
医師453.7万円年1名で逆転
歯科医師318.8万円年1名で逆転
薬剤師170.0万円年1名で逆転
看護師157.4万円年2名
准看護師128.3万円年2名
歯科衛生士118.8万円年2名
受付・案内事務員106.0万円年2名
看護助手101.1万円年2名

ただし医師・薬剤師は、金額の上では年1名で逆転しても媒体で母集団が作れるとは限りません。逆転点はあくまで費用の話で、採れるかどうかは別の問題です。

現実的なのは、受付・看護助手・歯科衛生士・看護師を自院募集にまとめ、医師と薬剤師だけ紹介を残す形です。複数職種を1つの月額でまとめて募集できれば、1名あたりの単価はさらに下がります。

費用の考え方そのものは採用代行の費用相場|料金体系別の目安と一人あたりの採用単価で整理しています。

クリニックの採用コストを下げる順番

  • 1. 事務・受付を紹介から外す(効果が最も大きい)有効求人倍率0.37倍の職種に紹介手数料106万円を払う必要はありません。求人媒体に切り替えるだけで、1名あたり数万円まで下がります。
  • 2. 応募への一次対応を速くする(費用0円)応募当日の返信、見学だけの受け入れ枠、診療時間外の面接。クリニックは組織が小さい分、大きな病院より速く動けます。
  • 3. 求人原稿に条件を書き切る(費用0円)1日の患者数、スタッフの人数と構成、診療時間と残業の実績、土曜の勤務頻度、子どもの急な発熱時の対応、電子カルテの種類、ブランクの受け入れ。
  • 4. 対象を広げる(費用0円)ブランクあり、時短、パート、准看護師、未経験の医療事務。要件を1つ外すだけで母集団が変わります。
  • 5. 複数職種をまとめて募集する(費用の組み替え)受付と看護助手を別々に紹介で採るより、まとめて自院募集に載せたほうが1名あたりの単価は下がります。
  • 6. 紹介は医師・薬剤師・医療技術者に絞る(費用の削減)母集団が薄い職種にだけ残します。

看護師の採用単価と早期離職の実態は看護師の採用単価|紹介手数料の相場83万円と中途採用の離職率で詳しく扱っています。

職種ごとに手段を分けるとき、どこまでを外部に任せられるのかは医療の採用代行(RPO)とは|任せられる範囲と職種別の使い分けで整理しています。

クリニックの採用コストについてよくある質問

クリニックの採用コストは1人あたりいくらが目安ですか?

職種によって101万円から454万円まで開きます(推定年収に料率30%を掛けた試算)。参考として、紹介手数料の全業種平均は常用就職1件あたり103万円(厚生労働省・令和6年度)、医療分野の実績平均は医師82.4万円・看護63.9万円(令和5年度実績、パート含む)です。

求人広告経由なら掲載費の投じ方で数万円から数十万円、ハローワークや無料媒体は0円です。

医療事務は紹介を使うべきですか?

基本的に不要です。一般事務従事者の有効求人倍率は0.37倍(令和8年3月)で、求人1件に対して求職者が約2.7人いる状態です。条件を整えて求人媒体に出せば応募は集まります。

紹介で採ると106万円前後かかるため、ここが最も削りやすい費用です。

医師の採用は自院募集でできますか?

費用の計算上は年1名でも自院募集が有利ですが、医師・歯科医師・薬剤師の有効求人倍率は1.97倍(令和8年3月)で、そもそも母集団が小さい職種です。一般の求人媒体では届きにくく、紹介や医局・大学とのつながりを使うほうが現実的な場合があります。

当社としても、この職種は媒体で母集団が作れるかを事前に正直にお伝えします。

薬剤師を求人媒体で募集する場合の考え方は薬剤師の採用代行にまとめています。

クリニックで複数の職種を同時に募集できますか?

できます。ただし職種ごとに求人原稿を分ける必要があります。求職者は職種名で検索するため、「スタッフ募集」とまとめると誰にも届きません。

原稿の本数で料金が決まる仕組みの場合、職種数に応じたプランが必要になります。詳しくは料金プランのページをご覧ください。

まとめ:クリニックの採用コストは職種を揃えて比べる

クリニックの採用コストは、職種によって101万円から454万円まで4.5倍の開きがあります。同時に有効求人倍率も、事務0.37倍から医療技術者3.19倍まで9倍近い差があります。

だからこそ、「クリニックの採用をどうするか」ではなく「この職種をどう採るか」で分けることが費用削減の要点になります。事務・受付・看護助手は自院募集に切り替え、医師・薬剤師は紹介を残す。この整理だけで年間の採用コストは大きく変わります。

私たちが運営する採用コミットは、株式会社Abeyが提供する月額定額の採用代行です。求人原稿の制作からIndeed・求人ボックス・ジョブメドレー等の媒体運用、週次レポートまでを担い、応募者への返信・面接・採否の判断は医院側に残します。料金は初期費用10万円・月額10万円〜、成果報酬0円、採用人数の上限なし(税別・最低契約期間3ヶ月・媒体掲載費は別途)。何人採用しても月額は変わりません。

プランごとの詳細は料金プランのページに掲載しています。まずはその職種で媒体から母集団が作れるかだけでもお伝えできます。難しい職種はその理由もお伝えします。

応募が止まっている場所を先に特定しておくと、無駄な出稿を避けられます。切り分けの手順は採用が難しい理由と対策|求人を出しても応募が来ない原因の切り分け方にまとめました。

出典

本記事は株式会社Abey(採用代行サービス「採用コミット」運営)が制作しました。賃金・有効求人倍率・手数料の数値は上記の原表を確認したうえで記載し、調査名と時点、確認日を併記しています。推定年収(きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額)、料率別の手数料額、年間費用の比較(掲載費を月3万円と仮定)は当社による試算です。有効求人倍率の職業分類は「一般事務従事者」「医療技術者」などの区分であり、クリニック勤務者だけを抜き出した数値ではありません。医療事務・受付は一般事務従事者の区分に含まれます。

この記事を書いた人

弓川堅士のアバター 弓川堅士 代表取締役

長崎大学卒業後、上場企業グループ会社の事業部長を経て、株式会社Abeyを創業。
月10万円からの採用業務代行サービス「採用コミット」を立ち上げ、主に中小企業の中途採用(正社員・業務委託採用)を母集団形成から支援。

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