製造業の求人に応募が来ない原因|求人倍率の差と求人票の直し方

工場の求人を出しても応募が来ない。以前は集まったのに、いまは反応がない。製造業でそう感じている経営者や工場長は多いと思います。
ただ、「製造業だから採れない」とひとくくりにすると打ち手を見誤ります。公的データを見ると、同じ製造業でも工程によって有効求人倍率が約4.7倍もちがうからです。
機械整備・修理は3.89倍で極端な売り手市場。一方で機械組立は0.83倍と、求職者のほうが多い状態です。
この記事では、まず自社の工程がどちら側かを確かめたうえで、製造業の求人票で決定的に足りない情報を埋めていく方法を解説します。
この記事の要点
製造業の求人に応募が来ないのは、人手不足だけが理由ではありません。生産工程の有効求人倍率は機械整備・修理の3.89倍から機械組立の0.83倍まで約4.7倍の開きがあり、工程で難易度がまったく違います。
- ありがちな求人票多くが「かんたんな軽作業」「製造スタッフ」としか書いていません。
- 求職者が知りたい5点何を作るのか、立ち作業か座り作業かと扱う物の重さ、交替制かどうか、空調はあるか、マイカー通勤はできるか。
この5点を書くだけで、応募するかどうかの判断ができるようになります。
製造業の求人に応募が来ない理由をデータで確認する
同じ製造業でも、工程によって4.7倍の差がある
厚生労働省の「一般職業紹介状況(令和8年3月分及び令和7年度分)」の参考統計表には、生産工程従事者の内訳ごとに有効求人倍率が出ています。

生産工程従事者の全体は1.57倍で、全職業平均の1.10倍より高い水準です。ただし内訳を見ると事情が変わります。
- 採りにくい側機械整備・修理3.89倍、製品製造・加工処理(金属製品)2.08倍、製品検査(金属製品以外)1.87倍。求人のほうが求職者より多く、条件で選ばれる立場です。
- 求職者のほうが多い側機械組立0.83倍、生産関連・生産類似作業0.84倍、生産設備の制御・監視(金属製品)0.98倍。人はいます。届いていないか、選ばれていないかです。
まず自社が募集している工程がどちら側かを確認してください。ここで打ち手が変わります。
なお、これらはハローワーク経由の数値です。製造業は派遣や請負の比重も大きいため、市場全体の一部を切り取った数字である点は押さえておいてください。
企業側の不足感は、全産業平均をやや下回る
厚生労働省の「労働経済動向調査(令和8年5月)」によると、製造業の正社員等労働者過不足判断D.I.は+44でした。調査産業計の+47をやや下回ります。
参考までに建設業は+59、医療・福祉は+57です。製造業は「人手不足がもっとも激しい業界」ではありません。
にもかかわらず応募が来ないなら、原因は業界環境ではなく自社の求人にあります。ここを直す余地は大きく残っています。
同じ現場職の建設業については建設業の採用戦略|人手不足のなかで採用する職種と方法の決め方で職種選びから整理しました。
製造業の求人票に書くべきこと
工程を見極めたら、次は求人票です。製造業の求人でほとんど書かれていない項目を、順に埋めていきます。
「かんたんな軽作業」と書いた工場求人に、応募が来ない理由
製造業の求人でもっともよく見る表現が「かんたんな軽作業」です。しかしこの言葉から、求職者が読み取れる情報はほとんどありません。

「軽作業」と書いてあっても、実際に1日8時間立ちっぱなしなのか、座って検査をするのかで、体への負担はまったく違います。
入出庫・仕分け・検品といった倉庫内の募集は倉庫・軽作業スタッフの採用代行で扱っています。
過去に工場勤務で体を痛めた人ほど、この点を慎重に確認します。書かれていなければ、確認のしようがないので応募しません。
① 何を作っているか
自動車部品、食品、電子部品、金属加工、樹脂成形。作っている製品によって、仕事のイメージはまるで変わります。
製品名と用途を書いてください。「大手自動車メーカー向けのエンジン部品」「コンビニ向けの惣菜」と書けるだけで、応募者は自分がどんな現場に立つのかを想像できます。
② 姿勢と、扱う物の重さ
製造業の求職者がもっとも気にする項目のひとつです。立ち作業か座り作業か、1日のうちどのくらい動くのか。
そして扱う物の重さを具体的に書いてください。「扱う部品は1kg以下です」「最大20kgの箱を持ち上げる場面があります」。この一文があるかないかで、応募できるかどうかが決まる人がいます。
重いものを扱うなら、それも正直に書いてください。入社後に判明するより、応募前に分かるほうが双方にとって良い結果になります。
③ 作業環境
- 空調の有無「空調完備」は製造業の求人において強い訴求です。夏場の暑さを知っている人ほど重視します。
- クリーンルームかどうか食品や電子部品では、清潔な環境であること自体が魅力になります。防塵服の着用有無も書いてください。
- 匂い・粉じん・騒音あるなら書き、対策も併記します。「粉じんがあるため防塵マスクを支給し、集塵機を各ラインに設置しています」。
- 屋内か屋外か意外に書かれていない項目です。一日中屋内なのか、屋外作業が混ざるのかで応募の判断が変わります。
④ 通勤と入寮
工場は郊外にあることが多く、通勤手段が応募の可否を直接決めます。
マイカー通勤の可否、駐車場の有無と料金、ガソリン代の支給、最寄り駅からの送迎バス。書いていないだけで対象から外れることがあります。
寮や社宅があるなら、それは県外からの応募を集める強力な武器です。家具家電の有無、寮費の金額、単身用か家族用かまで書いてください。
工場求人の交替制勤務は、隠すより書いたほうが応募が増える

交替制を書くと応募が減ると考えて、日勤の時間だけを書いている求人があります。これは逆効果です。
書かずに応募を集めても、面接で交替制と分かった時点で辞退されます。手間だけがかかって、採用には至りません。
- 交替のパターンを書く2交替か3交替か。週ごとの交替か、日ごとか、固定夜勤か。生活リズムに直結するため、ここが最重要です。
- それぞれの勤務時間を書く「日勤8:00〜17:00/夜勤20:00〜翌5:00」。数字があると、家族との生活時間を計算できます。
- 夜勤の回数を書く「夜勤は月8回程度」。回数が分かると、収入と負担の両方を見積もれます。
- 夜勤手当の金額を書く「1回あたり4,000円」。交替制を選ぶ人は収入を目的にしていることが多く、手当額は応募の決め手になります。
- 日勤のみの選択肢があるなら書く「日勤のみの部署もあり、面接時にご相談ください」。これだけで対象が大きく広がります。
交替制は、製造業の求人においてもっとも強い絞り込み条件です。だからこそ、隠さずに書いて、条件が合う人に確実に届けるほうが効率的です。
製造業の求人票に必ず書く項目
| 項目 | 書き方の要点 |
|---|---|
| 職種名 | 「自動車部品の製造(未経験可・2交替)/〇〇市・マイカー通勤可」。製品と条件を入れる |
| 製品 | 何を作っているか、用途、納入先の業界 |
| 仕事内容 | 工程の中の担当範囲。1日の流れ。扱う物の重さ |
| 勤務時間 | 交替のパターン、各シフトの時間、夜勤の回数 |
| 給与 | 上限まで。夜勤手当・資格手当・皆勤手当を分けて明記 |
| 作業環境 | 空調、クリーンルーム、屋内外、匂い・粉じん・騒音と対策 |
| 通勤 | マイカー可否、駐車場、ガソリン代、送迎バス |
| 寮・社宅 | 有無、寮費、家具家電、単身用か家族用か |
| 体制 | 工場の人数、年齢層、未経験入社の割合、平均勤続年数 |
| 資格 | 必要な資格と、入社後に取得できる資格・費用負担 |
| 雇用形態 | 正社員か有期か。有期なら正社員登用の実績人数 |
とくに「未経験入社の割合」は効きます。「34名中、未経験入社が7割です」と書ければ、経験のない応募者が自分にもできると判断できます。
製造業の給与は、手当を分けて書く
製造業の給与は、基本給に複数の手当が乗る構成が一般的です。ところが求人票では「月給21万円〜」とだけ書かれ、手当が見えなくなっていることが多くあります。
求職者は実際に振り込まれる金額で他社と比較します。内訳が見えない求人は、低い方に見積もられて候補から外れます。
- 基本給の幅を上限まで書く「月給21〜27万円」。経験や資格で上がるなら、その条件も添えてください。
- 夜勤手当は1回あたりの金額と回数を書く「1回4,000円/月8回程度」。交替制を選ぶ人にとって、これが最大の判断材料です。
- 資格手当を項目ごとに書く「フォークリフト 月5,000円」「危険物取扱者 月3,000円」。取得後の収入まで見通せます。
- 皆勤・精勤手当があるなら書く金額が小さくても、月々の実収入に効きます。書いていない会社が多いので差がつきます。
- 残業の実績時間を書く「月平均15時間」。残業代を当てにしている層にも、少ないほうがいい層にも、どちらにも情報になります。
- 賞与は月数と実績を書く「年2回・昨年度実績 計3.5ヶ月」。「賞与あり」だけでは判断材料になりません。
手当を全部足すと、基本給だけの表示より月3〜5万円ほど見え方が変わることは珍しくありません。すでに支給しているものを書くだけです。
応募が来る製造業の求人票と、来ない求人票を比べる

左右で条件は変えていません。給与も勤務時間も同じです。会社がすでに知っている情報を、書いたか書いていないかの違いだけです。
とくに効くのは「扱う部品は1kg以下」「空調完備」「未経験入社が7割」「入社後にフォークリフト取得可」の4点です。いずれも応募をためらう理由を、先回りして消しています。
求人票を直しても応募が来ないときは
採用コミットは、求人原稿の制作からIndeed・求人ボックス等の媒体運用・週次レポートまでを担う月額定額の採用代行です。何人採用しても月額10万円〜・成果報酬0円。工程や作業環境を伺ったうえで、それが伝わる原稿に整えます。
工場の1日の流れを書くと、応募者が働く姿を想像できる
項目を埋めたうえで、もうひとつ効くのが「1日の流れ」です。求人票にこれを書いている製造業の会社は、ほとんどありません。
7:50 出社・着替え。作業着とヘルメットは会社が支給します
8:00 朝礼。今日の生産計画と、注意点の共有(10分程度)
8:10 作業開始。機械へ部品をセットし、加工後に外観を検査します
10:00 休憩10分
12:00 昼休憩60分。食堂があり、昼食は1食350円です
13:00 午後の作業。午前と同じ工程を担当します
15:00 休憩10分
16:45 片付けと日報の記入
17:00 退社。残業は月平均15時間程度で、事前に予定が分かります
これを読むと、応募者は自分がその工場で過ごす1日を具体的に思い描けます。休憩の取り方、食堂の有無、片付けの時間まで含めて判断できます。
とくに未経験者にとっては、「働くイメージが湧かない」という不安が応募をためらう最大の理由です。ここを埋めるだけで応募数が変わります。
交替制なら、日勤と夜勤の両方を書いてください。夜勤の1日が見えると、生活リズムを家族と相談できるようになります。
製造業の求人で、資格をどう扱うか
製造業では、フォークリフト、玉掛け、クレーン、危険物取扱者、電気工事士など、業務に関わる資格が多くあります。
ここを応募資格に積み上げると、該当者は一気に減ります。扱い方を分けてください。
- 本当に必須の資格だけを必須にする入社初日から使う資格でなければ、必須にする必要はありません。入社後に取ってもらえば足ります。
- 残りは歓迎条件に落とす「フォークリフト免許をお持ちの方は歓迎(手当あり)」。これなら持っている人には訴求でき、持っていない人も応募できます。
- 入社後の取得支援を書く「入社後にフォークリフト取得可・費用は会社負担」。これは製造業でもっとも効く一文のひとつです。手に職をつけたい未経験者に強く届きます。
- 資格手当の金額を書く「フォークリフト手当 月5,000円」。金額があると、取得後の収入まで見通せます。
資格取得支援は、採用だけでなく定着にも効きます。会社が投資してくれたという実感は、そのまま勤続につながります。
有期雇用なら、正社員登用の実績を書く
製造業では、まず有期契約で採用し、その後に正社員へ登用する形をとる会社が多くあります。この場合、求人票の書き方で応募数が大きく変わります。
- 「正社員登用あり」だけでは足りないこの5文字は、ほぼすべての製造求人に書いてあります。求職者は本当に登用されるのかを疑っています。
- 登用の実績人数を書く「過去3年で12名が正社員になっています」。数字があるかないかで、信頼度がまったく変わります。
- 登用までの期間と条件を書く「最短6ヶ月」「勤怠と作業習熟度で判断します」。基準が見えると、目標を持って入社できます。
- 正社員になったときの条件も書く賞与、退職金、手当の違い。登用後の姿が見えると、有期であること自体は障害になりません。
逆に、実際にはほとんど登用していないのに「正社員登用あり」と書くのは避けてください。入社後に発覚すれば早期離職につながり、採用費用が無駄になります。
なお、有期契約で採用する場合は、契約期間、更新の有無と判断基準、更新上限の有無を労働条件として明示する必要があります。記載内容は労働局や社会保険労務士にご確認ください。
同じ現場職では、建設業の求人に応募が来ない原因|3段階で切り分ける改善方法もあわせてご覧ください。
製造業の応募者を増やす、ターゲットの広げ方4つ
工程によっては、そもそも応募の母数が足りません。その場合は対象そのものを広げる必要があります。
- 未経験可にする製造業は、教える体制さえあれば未経験から戦力になりやすい分野です。「入社後2週間は先輩がつきます」「1ヶ月目は検査工程から始めます」と道筋を書いてください。
- 日勤のみ・短時間の枠を作る交替制しか用意していないと、育児中や介護中の層が丸ごと外れます。検査や梱包など日勤で回せる工程があるなら、別の求人として出してください。
- 年齢層を広げる製造業は経験の蓄積が効く分野です。体力を要する工程は分担を工夫し、判断や段取りが必要な工程を任せる形なら十分に戦力になります。
- 寮を使って商圏の外から採る寮や社宅があるなら、通勤圏に縛られません。求人票に寮費と設備を書き、勤務地の条件を「全国から応募可」に広げてください。
なお、募集にあたって年齢を理由に対象を限定することは労働施策総合推進法により、性別を理由とする差別的取扱いは男女雇用機会均等法により、それぞれ原則として禁止されています。「体力に自信のある方」「若手歓迎」といった表現も、実質的な制限とみなされる場合があります。記載の可否はハローワークや社会保険労務士にご確認ください。
製造業の求人をどこに出し、いくらかかるか
無料で押さえられる媒体から順に整え、そのうえで有料出稿を検討するのが基本の順番です。
製造業の求人は、どの媒体に出すか
| 媒体 | 掲載費 | 向いている使い方 |
|---|---|---|
| Indeed | 無料掲載可/有料出稿で露出増 | 母数が最大。未経験層・地元層の両方に届く |
| 求人ボックス | 無料掲載可/有料出稿あり | Indeedと併用。クリック単価を比較して配分 |
| ハローワーク | 無料 | 地元志向の層に強い。製造業では特に機能する |
| エンゲージ・Airワーク | 無料 | 採用ページを無料で作り、Indeed等へ連携 |
| 工場・製造特化の求人サイト | 有料または成功報酬 | 寮付き求人を探している層に届く |
| 人材派遣 | 時間単価に上乗せ | 繁忙期の変動に対応。直接雇用の蓄積は残りにくい |
製造業はハローワークとIndeedの相性が良い分野です。まずこの2つと無料の採用ページを整えてから、有料の出稿を検討してください。
寮付きで県外から集めたい場合だけ、工場特化の求人サイトを検討する価値があります。
製造業の採用にいくらかかるか
| 手段 | 1名あたりの費用目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| ハローワーク・無料媒体 | 0円 | 地元層には十分に届く。まず整えるべき |
| Indeed・求人ボックス(有料出稿) | 数万〜数十万円 | 原稿の精度と出稿額で大きく変動する |
| 工場特化の求人サイト | 数十万円 | 寮付き求人に強い。県外からの応募を狙える |
| 人材紹介 | 年収の30〜35% | 年収350万円なら105〜123万円。決まるまで0円 |
| 人材派遣 | 時給に30〜40%上乗せ | 継続すると総額は最も大きくなりやすい |
製造業では、派遣に頼り続けた結果年間のコストが直接雇用の何倍にもなっているケースがあります。派遣費用の年額を一度計算して、自社募集の体制づくりと比較してみてください。
費用の考え方は採用代行の費用相場|料金体系別の目安と一人あたりの採用単価で整理しています。
製造業の応募が来てから入社までにやること
応募が集まっても、社内の対応で止まっていては採用に至りません。工場ならではの進め方を整理します。
応募が来てからが勝負になる
- 当日中に一次返信する製造業の求職者も複数社に応募しています。翌日以降では、先に返事をくれた会社に決まっています。工場は事務担当が少ないため、返信の担当と定型文を先に決めておいてください。
- 電話以外の応募方法を用意する応募方法が電話だけだと、在職中の人は日中に連絡できません。メールとフォームを必ず用意してください。
- まず工場見学から入れる「面接」はハードルが高くても「見学だけ」なら来てもらえます。作業環境を実際に見てもらうほうが、文章より確実に伝わります。
- 面接に現場の担当者を入れる1日の流れや作業の実際は、経営者より現場のほうが具体的に話せます。同じ工程の先輩がいると、質問が出て相互理解が進みます。
- 条件は面接で必ずすり合わせる交替制の頻度、残業の実績、寮費。求人票と違う条件を面接で出すと、その場で辞退されます。
面接では、適性と能力に関係のない事項を尋ねないよう注意してください。厚生労働省の「公正な採用選考の基本」は、本籍・出生地、家族に関すること、住宅状況、宗教や支持政党といった事項の把握は就職差別につながるおそれがあるとしています。あらかじめ質問項目と評価基準を決めておくと、この事故を防げます。
工場の募集開始から入社までのスケジュール
| 時期 | やること |
|---|---|
| 入社の4ヶ月前 | 募集する工程を決め、商圏内の製造求人10件と給与・交替条件を比較する |
| 3ヶ月前 | 求人原稿を作成。工場内と設備の写真を撮影。媒体を決めて掲載開始 |
| 2〜3ヶ月前 | 応募対応・工場見学・面接。2週間ごとに数字を見て1か所ずつ直す |
| 1.5〜2ヶ月前 | 内定。在職中の方は退職に1〜2ヶ月かかる前提で調整する |
| 入社後1ヶ月 | 先輩がつく期間。安全教育と、担当工程への段階的な移行 |
製造業で特に注意したいのが、繁忙期の直前に入社してもらうスケジュールを避けることです。教える側に余裕がない時期に入ると、安全面のリスクも上がります。
採用した人に、定着してもらうために
厚生労働省の「令和6年雇用動向調査」によると、転職した人が前職を辞めた理由は、男性で「給料等収入が少なかった」10.1%、「職場の人間関係が好ましくなかった」9.0%、「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」8.6%が上位でした(定年・契約期間の満了、会社都合を除く)。
製造業の現場では、これに次の要因が重なります。
- 入社前に聞いた話と違う交替の頻度、扱う物の重さ、残業の実績。求人票と実態がずれていると、1〜3ヶ月で辞められます。これは採用ではなく求人票の問題です。
- 最初の1ヶ月で放置されるラインに入れて終わりでは、何が正解か分からないまま不安が続きます。誰が教えるかを決めてから採用してください。
- 覚える先が見えないずっと同じ工程だけでは、成長が止まったと感じます。多能工化の道筋や、資格取得の順番を示してください。
- 体への負担が想定を超える作業姿勢や重量物の扱いは、配置転換や治具の導入で軽減できることがあります。辞める前に相談してもらえる関係を作ってください。
定着した実績は、そのまま次の求人票に書ける材料になります。「平均勤続8年」「未経験入社が7割」と書ける工場は、それだけで選ばれやすくなります。
それでも製造業の求人に応募が来ないときは
改善の効果をどう測り、どこで条件の見直しに切り替えるかを判断する方法です。
求人を直したあと、何を見て判断するか
| 見る数字 | 読み取ること | 判断の目安 |
|---|---|---|
| 表示回数 | 職種名に検索語が入っているか | 前週比で動いているか |
| クリック率 | 職種名と給与表記が効いているか | 下がったら職種名を戻す |
| 応募数 | 5項目が書けているか | 週1件を最初の目標に |
| 見学・面接の実施率 | 返信速度と応募方法 | 5割を下回るなら社内の対応 |
| 辞退の理由 | 交替制・重量・通勤のどこがネックか | 2件続いたら求人票を直す |
変更は1回につき1か所、判断の期間は2週間を目安にしてください。同時に複数を変えると、何が効いたのか分からなくなります。
それでも製造業の求人に応募が来ない場合の3つの原因
- 給与や手当が商圏内で明確に下位にある同じエリアの製造求人を10件開いて、月給と夜勤手当がどの位置にあるかを確認してください。下から数えたほうが早いなら、原稿では埋まりません。
- 通勤の条件が厳しい公共交通機関で行きにくい立地なら、マイカー通勤・駐車場・送迎バスのいずれかが必要です。ここが解決しないと、原稿をどう直しても届きません。
- 交替制しか用意していない日勤で回せる工程がひとつもないか、もう一度確認してください。検査、梱包、出荷準備など、切り出せる作業があれば母数が大きく変わります。
職種を問わない共通の切り分け方は、採用が難しい理由と対策|求人を出しても応募が来ない原因の切り分け方で解説しています。表示回数・クリック・応募数の3つで、どこが詰まっているかを判定できます。
自社で回せないときは、採用代行という選択肢がある
ここまでの内容は、すべて自社で実行できます。ただ、工程ごとに原稿を作り分け、毎週数字を見て直し続けるのは、専任者のいない工場には負担の大きい作業です。
採用代行(RPO)は、この「原稿を作り、掲載し、数字を見て直し続ける」部分を外に出すサービスです。
- 向いているケース採用の専任者がいない。複数の工程・複数の拠点で募集している。派遣費用が重くなっている。交替制や作業環境をどう書けばいいか分からない。
- 向いていないケース給与や手当が商圏内で明確に下位にある(条件の見直しが先)。年に1名採用するかどうか(月額の固定費が割高になる)。応募者への返信を社内で回せない(母集団形成型の代行では、応募後の対応は自社に残ります)。
採用代行の業務範囲、人材紹介との違い、会社の選び方は採用代行(RPO)とは?業務内容と費用相場、人材紹介との違いで整理しています。
製造業・工場での対応範囲と進め方は製造業・工場の採用代行サービスにまとめています。
よくある質問
交替制と書くと、応募が減りませんか?
応募数は減る可能性があります。ただ、減るのは「交替制なら応募しなかった人」です。その人たちは面接で分かった時点で辞退します。
むしろ、夜勤手当の金額まで書くと収入を目的に交替制を選ぶ層が集まります。隠すより明示するほうが、結果的に採用に近づきます。
未経験者を採用しても大丈夫でしょうか?
製造業は、教える体制さえあれば未経験から戦力になりやすい分野です。むしろ経験者に絞ると、母数が大きく減ります。
ただし誰が教えるか、何日間つくかを決めてから募集してください。安全教育も必須です。放置すると早期離職だけでなく、事故のリスクにもつながります。
派遣から直接雇用に切り替えるべきですか?
生産量が季節で大きく変動するなら派遣は有効です。一方、通年で一定の人員が必要なら、派遣費用の年額は直接雇用より大きくなりやすくなります。
まず現在の派遣費用を年額で計算してみてください。その金額を見てから、自社募集の体制づくりに投じるかを判断するのが現実的です。
工場の写真は何を撮ればよいですか?
外観だけでは伝わりません。実際の作業スペース、使用している設備、休憩室、更衣室、そして働いているスタッフの様子を撮ってください。
製造業の求職者は清潔さと設備の新しさを見ています。整理整頓された現場は、それ自体が強い訴求になります。スマートフォンで撮ったもので構いません。
寮がないと、県外からは採れませんか?
寮があるほうが有利ですが、必須ではありません。近隣の賃貸物件の家賃相場や、住宅手当の金額を書くだけでも判断材料になります。
また、引越し費用の一部負担や、入社時の赴任手当を用意している会社もあります。金額を明示すれば、寮がなくても検討してもらえます。
複数の工程を同時に募集したいのですが
求人を分けてください。工程によって求職者の検索する言葉も、応募する動機も違います。1本にまとめると、どの検索でも中途半端になります。
とくに日勤の工程と交替制の工程は必ず分けてください。条件がまったく違うため、同じ原稿では両方に刺さりません。
まとめ:製造業の求人に応募が来ない原因は、工程と書き方にある
製造業の求人に応募が来ないとき、「業界全体が人手不足だから」で片づけないでください。
生産工程の有効求人倍率は機械整備・修理の3.89倍から機械組立の0.83倍まで、約4.7倍の開きがあります。まず自社の工程がどちら側かを確かめてください。求職者のほうが多い工程なら、人はいます。
そのうえで、ほとんどの製造求人は「製造スタッフ/かんたんな軽作業」としか書いていません。何を作るのか、立ち作業か座り作業かと扱う物の重さ、交替制の中身、空調の有無、マイカー通勤の可否。この5点を書くだけで、応募の判断ができるようになります。
すべて工場がすでに知っている情報です。条件を変える必要も、費用をかける必要もありません。
私たちが運営する採用コミットは、この「実態を整理して原稿にし、掲載して、数字を見て直し続ける」部分を引き受ける月額定額の採用代行です。料金は初期費用10万円・月額10万円〜、成果報酬0円、採用人数の上限なし(税別・最低契約期間3ヶ月)。面接と採否の判断はお客様側に残ります。
ただし、給与や手当が商圏内で明確に下位にある場合は、代行を入れても応募は増えません。そのときは「まず条件を見直したほうがよい」と正直にお伝えします。いまの求人を見せていただければ、何が抜けているかだけでも判断できます。
職種ごとの採用単価の相場は採用単価とは?計算方法と職種別の相場、平均の見方に一覧化しています。
出典
- 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年3月分及び令和7年度分)について」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_72811.html)確認日 2026年9月9日。生産工程従事者の内訳別 有効求人倍率は、同発表の参考統計表(常用・パート含む、令和8年3月)による
- 厚生労働省「労働経済動向調査(令和8年5月)の概況」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keizai/2605/)確認日 2026年9月9日
- 厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概要」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/25-2/index.html)確認日 2026年9月9日
- 厚生労働省「公正な採用選考の基本」(https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/topics/saiyo/saiyo1.htm)確認日 2026年9月9日
本記事は株式会社Abey(採用代行サービス「採用コミット」運営)が制作しました。統計値は上記出典の公表値をそのまま引用し、確認日を併記しています。求人票の改善に関する記述は当社の実務経験に基づくもので、応募数の増加や採用成立を保証するものではありません。法令の適用については、個別の事案ごとにハローワーク・労働局・社会保険労務士等にご確認ください。
