営業の採用が難しい理由|応募が来ない求人票の共通点と書き方

営業職の求人を出しても応募が来ない。来ても未経験者ばかりで、経験者は他社に流れていく。営業の採用に悩んでいる会社は非常に多くあります。

営業は、実際に採りにくい職種です。有効求人倍率は2.14倍で、全職業平均1.10倍の約2倍。求人1件あたり、求職者は0.5人しかいない計算になります。

ただ、それだけが原因ではありません。もうひとつ、多くの会社が見落としている構造があります。

営業求人は、求職者から見て「全部同じ」に見えているということです。この記事では、その状態から抜け出すための具体的な書き方を解説します。

この記事の要点

営業職の有効求人倍率は2.14倍で、全職業平均1.10倍の約2倍。ただし効いているのは市場より「営業求人がどれも同じに見える」ことです。条件の良い順に選ばれ、中小企業は最後まで残ります。

  • ありがちな求人票職種名は営業スタッフ、給与は月給25万円〜、仕事内容は営業業務全般。
  • 求職者が本当に見ている6項目ノルマ、新規と既存の比率、給与の内訳、1日の行動量、商材と顧客層、営業以外の業務。

この6つを書くだけで、比較の土俵に乗れます。

弓川堅士

弓川堅士

株式会社Abey
代表取締役

この記事の監修者

長崎大学卒業後、上場企業グループ会社の事業部長として組織づくり・採用業務を担い、株式会社Abeyを創業。
月10万円からの採用業務代行サービス「採用コミット」を立ち上げ、主に中小企業の中途採用(正社員・業務委託採用)を母集団形成から支援。現場で日々採用に向き合っている実務者の視点から、本記事の内容を監修しています。

目次

営業の採用が難しい理由をデータで確認する

有効求人倍率は2.14倍

厚生労働省の「一般職業紹介状況(令和8年3月分及び令和7年度分)」の参考統計表から、営業職業従事者の数字を見てみます。

営業職の有効求人75,431人に対し有効求職は35,328人、有効求人倍率2.14倍であることを示す図
営業職業従事者の需給(令和8年3月・常用(パート含む))。出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」参考統計表

有効求人75,431人に対して、有効求職者は35,328人。有効求人倍率は2.14倍です。全職業平均は1.10倍ですから、その約2倍の水準にあります。

参考までに、会計事務は0.60倍、一般事務は0.37倍。同じ「募集しても人が来ない」でも、事務職と営業職では原因がまったく違います。

なお、これらはハローワーク経由の数値です。営業職は転職サイトや人材紹介の比重も大きいため、市場全体の一部を切り取った数字である点は押さえておいてください。それでも、需給の傾向を見る指標としては有効です。

求職者は増えているのに、就職件数は減っている

営業職の有効求人75,431件から紹介件数8,382件、就職件数1,192件へと絞られる流れを示す図
営業職業従事者の求人・紹介・就職(令和8年3月)。出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」参考統計表

もっと注目すべきなのは、この先の数字です。有効求人75,431件に対して、紹介件数は8,382件。実際に就職が決まったのは1,192件でした。

求人のうち、ひと月で決まっているのは約1.6%にすぎません。

そして前年同月と比べると、新規求職者は3.8%増えているのに、就職件数は13.1%減っています。

営業職を探している人は増えている。それなのに決まっていない。これは「人がいない」だけでは説明がつかない現象です。マッチングの側に問題があります。

営業求人は「全部同じ」に見えている

求人媒体で「営業」と検索すると、次のような求人が並びます。

営業スタッフ/月給25万円〜/営業業務全般/土日祝休み/アットホームな職場です
営業職/月給24万円〜+インセンティブ/既存顧客の営業/未経験歓迎
法人営業/月給26万円〜/営業活動全般/完全週休二日制/風通しの良い社風

求職者から見ると、この3件に実質的な違いがありません。違うのは給与の数字だけです。

そうなると、判断基準は給与と休日と勤務地しか残りません。結果として条件の良い順に選ばれ、中小企業は最後まで残ります。

ここから抜け出す方法はひとつです。他社が書いていないことを書くこと。それも、求職者が本当に知りたいことを書くことです。

他職種と並べて予算を組みたい場合は、採用単価とは?計算方法と職種別の相場、平均の見方に17職種の一覧があります。

営業の求人票に書くべき6項目

営業求人がどれも同じに見えてしまう状態から抜け出すには、他社が書いていないことを書くしかありません。求職者が実際に見ている6項目を順に埋めていきます。

営業の求職者が本当に見ている6つのこと

営業の求職者が求人票で見る6項目。ノルマ、新規と既存の比率、給与の内訳、1日の行動量、商材と顧客層、営業以外の業務
営業の求職者が求人票で確認したい6項目

営業職への転職を考えている人が不安に思うのは、給与よりもむしろ「入社したら、どんな毎日になるのか」です。

過去に厳しい営業を経験した人ほど、この点を慎重に確認します。書かれていなければ、確認のしようがないので応募しません。

① 営業求人にノルマをどう書くか

営業求人でもっとも隠されがちで、もっとも見られているのがノルマです。

書いていない求人は、求職者から「書けないほど厳しいのだろう」と解釈されます。沈黙は不利に働きます。

  • ノルマがないなら、はっきり書く「個人ノルマはありません。チーム全体の目標を追います」。これは強い訴求になります。ただし実態と違うことは絶対に書かないでください。
  • あるなら、内容と水準を書く「月間の目標は新規3件です」「達成率は直近1年で平均85%前後です」。数字が具体的なほど、覚悟を持った人が応募してきます。
  • 未達のときどうなるかを書くここがいちばん不安な部分です。「未達でも減給はありません」「上長と改善策を話し合います」。処遇に影響しないなら、必ず書いてください。
  • 達成したときのことも書くインセンティブの金額、表彰、昇進の実績。上振れの見通しが立つと、成果を出したい層に届きます。

ノルマの厳しさで人を選別したいなら、それも正直に書いてください。入社後に判明するより、応募前に分かるほうが双方にとって良い結果になります。

② 営業の新規と既存の比率を書く

営業経験者が転職先を選ぶとき、決定的に重要なのがこの項目です。新規開拓中心と既存顧客中心では、仕事の性質がまったく違います。

  • 比率を数字で書く「既存顧客7割・新規3割」。これだけで、日々の働き方が想像できるようになります。
  • 新規開拓の手法を書く飛び込みなのか、テレアポなのか、反響(問い合わせ対応)なのか、紹介なのか。この違いは、応募するかどうかを分けます。
  • やらないことを書く「飛び込み営業はありません」「テレアポのノルマはありません」。営業を敬遠している層に、もっとも効く一文です。
  • 引き継ぐ顧客の情報を書く「入社時に既存顧客20社を引き継ぎます」。ゼロから始めるのではないと分かると、応募のハードルが下がります。

反響営業やインバウンド中心の会社は、それを職種名に入れてください。「法人営業(反響中心・飛び込みなし)」。検索でも有利になり、クリック率が変わります。

③ 営業の給与は内訳と実績を書く

営業求人の給与欄の3つの書き方と、それぞれの求職者の受け取り方を比較した図
給与欄の書き方による受け取られ方の違い(記載例)

営業職の給与は、固定給と歩合の組み合わせであることが多いため、書き方によって受け取られ方が大きく変わります。

「月給25万円〜」だけでは、25万円しか出ない求人として扱われます。「+インセンティブ」を足しても、いくら乗るのかが分からなければ判断できません。

  1. 固定給と歩合を分けて書く「固定給25万円+歩合」。固定給がいくらなのかは、生活設計に直結します。ここが不明な求人は、家庭を持つ層から敬遠されます。
  2. 歩合の実績値を書く「歩合の平均支給額は月4.2万円です」。自社の実績をそのまま書いてください。低くても、書いてあるほうが信頼されます。
  3. 年収例を複数出す「入社1年目 380万円/3年目 460万円/トップ層 520万円」。幅を見せると、上を目指す人にも安定を求める人にも届きます。
  4. みなし残業があるなら明示する時間数と金額、超過分の支払いについて。ここを曖昧にすると、面接や入社後にトラブルになります。

数字を出すことに抵抗があるかもしれませんが、営業職の求職者は他社の求人と並べて比較しています。情報がない求人は、比較の土俵にすら上がれません。

④〜⑥ 行動量・商材・営業以外の業務

  1. 1日の行動量「1日の訪問は3〜4件」「架電は1日30件程度」「直行直帰が可能です」。数字があると、働き方が具体的に想像できます。訪問件数の多さを売りにする会社もあれば、1件あたりに時間をかける会社もあります。どちらが良いかではなく、合う人が応募してくることが重要です。
  2. 商材と顧客層何を、誰に売るのか。単価はいくらか、検討期間はどのくらいか。「単価300万円・検討期間3ヶ月の設備を、製造業の工場長へ提案します」と書けば、その領域の経験者に刺さります。逆に、扱う商材が書いていないと、経験者は判断できません。
  3. 営業以外の業務見積作成、請求処理、納品対応、報告書。営業職といっても、実際は事務作業が業務の3割を占めることもあります。ここを隠すと、入社後のギャップで辞められます。「事務作業は業務の2割程度。専任の営業事務が1名います」と書けば、むしろ安心材料になります。

この6項目は、すべて会社がすでに知っていることです。条件を変える必要も、費用をかける必要もありません。書いていないだけです。

営業の求人票に必ず書く項目

項目書き方の要点
職種名「法人営業(反響中心・飛び込みなし)/〇〇駅 徒歩5分」。手法と勤務地を入れる
給与固定給と歩合を分ける。歩合の平均支給額、年収例を複数
ノルマ有無、水準、未達時の扱い。ないなら明記する
新規と既存比率と、新規開拓の手法(反響/紹介/テレアポ/飛び込み)
商材・顧客層何を誰に売るか、単価、検討期間
1日の流れ訪問・架電の件数、直行直帰の可否、社内にいる時間
営業以外の業務事務作業の割合、営業事務の有無
体制営業の人数、年齢層、平均勤続年数、未経験入社の実績
移動手段社用車の有無、直行直帰、マイカー利用の可否と手当
残業月平均の実績時間。みなし残業があるなら時間数と金額

とくに「営業の平均勤続年数」は効きます。営業は離職の多い職種と見られているため、勤続年数が長いこと自体が働きやすさの証明になります。

仕事内容欄を、実例で比べる

項目を並べただけでは、実際にどう書くのかが伝わりにくいと思います。同じ会社の仕事内容欄を、2通りで書いてみます。

よくある書き方

【仕事内容】
自社製品の法人営業をお任せします。既存のお客様へのフォローが中心です。
未経験の方も先輩が丁寧にサポートしますので、安心してご応募ください。
やる気のある方をお待ちしています。

読んでも、入社後の1日がまったく想像できません。「既存中心」「未経験可」「先輩がサポート」は、どの営業求人にも書いてあります。

6項目を入れた書き方

【何を、誰に売るか】
製造業の工場向けに、生産管理システムをご提案します。単価は300万円前後、検討期間は3ヶ月ほど。窓口は工場長や生産管理のご担当者です。

【既存と新規の比率】
既存のお客様へのフォローが7割、新規が3割です。新規は展示会とWebからの問い合わせ対応が中心で、飛び込み営業とテレアポのノルマはありません。

【1日の流れ】
訪問は1日3〜4件。午前に社内で資料を準備し、午後に訪問というのが基本です。直行直帰が可能で、社用車を1人1台貸与しています。

【ノルマについて】
四半期ごとにチーム目標があります。個人ノルマは設定していません。未達の場合も減給や降格はなく、上長と改善策を話し合います。

【営業以外の業務】
見積書の作成と受注後の進捗確認をお願いします。業務全体の2割程度で、請求処理は営業事務2名が担当します。

【体制】
営業6名(20代2名・30代3名・40代1名)。平均勤続4年3ヶ月。うち2名は販売職からの未経験入社です。入社後1ヶ月は先輩に同行し、3ヶ月目から単独訪問に移ります。

条件は何ひとつ変えていません。会社がすでに知っている情報を、書いたか書いていないかの違いだけです。

とくに効くのは「飛び込み営業とテレアポのノルマはありません」と「うち2名は販売職からの未経験入社です」の2文です。前者は営業を敬遠している層の不安を消し、後者は未経験者に自分にもできると思わせます。

長いと感じるかもしれませんが、営業の求職者はここを読みます。読まれない情報より、読まれて判断される情報のほうが価値があります。

営業の求人原稿を、どう書けばいいか分からないときは

採用コミットは、求人原稿の制作からIndeed・求人ボックス等の媒体運用・週次レポートまでを担う月額定額の採用代行です。何人採用しても月額10万円〜・成果報酬0円。ノルマや歩合の書き方も含めて、実態を損なわずに伝わる原稿に整えます。

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営業の応募者を増やすターゲット設定

有効求人倍率2.14倍の職種では、待っていても経験者は来ません。誰を対象にするかを見直す必要があります。

営業を未経験から採るかどうか

営業は、未経験からでも入りやすい職種です。有効求人倍率2.14倍という需給を考えると、経験者だけに絞ると母数が一気に減ります。

  • 未経験可にするなら、教育の中身を書く「入社後1ヶ月は先輩に同行」「3ヶ月目から単独訪問」。この道筋があると、未経験者は応募できます。「未経験歓迎」の4文字だけでは動きません。
  • 前職の傾向を書くと効く「販売職・接客業からの転職者が3名在籍しています」。同じ経歴の人が、自分にもできると判断できます。
  • 経験者を狙うなら、条件を具体化する「無形商材の法人営業経験2年以上」のように、扱う商材に近い経験を指定します。「営業経験3年以上」だけでは、業界が違って通用しないこともあります。
  • 両方を狙うなら、求人を分ける1本の原稿で未経験と経験者の両方を狙うと、どちらにも刺さりません。別の求人として出したほうが、両方で上位に出ます。

なお、募集にあたって年齢を理由に対象を限定することは労働施策総合推進法により、性別を理由とする差別的取扱いは男女雇用機会均等法により、それぞれ原則として禁止されています。「若手歓迎」「体力に自信のある方」といった表現も、実質的な制限とみなされる場合があります。媒体の審査で掲載できないこともあるため、記載の可否はハローワークや社会保険労務士にご確認ください。

営業の応募者を増やす、ターゲットの広げ方4つ

有効求人倍率2.14倍の職種では、待っていても経験者は来ません。対象そのものを広げる必要があります。

  1. 異業種の営業経験者に広げる同じ業界の経験者にこだわると、母数は激減します。無形商材か有形商材か、法人か個人か、単価と検討期間が近いか。業界より、営業の型が近いかどうかで見てください。求人票にも「業界未経験歓迎。法人営業のご経験があれば活かせます」と書けます。
  2. 販売・接客職からの転職者を狙う店舗販売、アパレル、飲食、ブライダル。対人の仕事に慣れていて、営業への転職を考えている層は一定数います。土日休みと固定給が、そのまま訴求になります。
  3. 時短・時間の制約がある層を検討する既存顧客のフォローが中心なら、10時〜16時の勤務でも回せる場合があります。営業職で時短枠を出している会社はほとんどないため、競合がいません。
  4. 社員の紹介(リファラル)を仕組みにする営業職は人脈を持っている職種です。紹介した社員への報奨金を制度化し、定期的に声をかけてください。媒体費より安く、定着率も高くなりやすい方法です。

4つとも、給与を上げずに母数を増やす方法です。固定給で大手に勝てない中小企業ほど、ここで差がつきます。

営業の求人をどこに出し、いくらかかるか

原稿を整えたうえで、どの媒体にいくら投じるかを決めます。順番を間違えると費用対効果が下がります。

営業の求人は、どの媒体に出すか

媒体掲載費向いている使い方
Indeed無料掲載可/有料出稿で露出増母数が最大。未経験層にも届く。まず整えるべき媒体
求人ボックス無料掲載可/有料出稿ありIndeedと併用。クリック単価を比較して配分
エンゲージ・Airワーク無料採用ページを無料で作り、Indeed等へ連携
ハローワーク無料地元志向の層。営業職は他媒体との併用が前提
大手転職サイト数十万円〜の掲載課金経験者の中途採用。掲載枠と原稿の質で差が出る
人材紹介成功報酬(理論年収の30〜35%が目安)経験者を確実に。単価は最も高い

営業職は求職者が転職サイトを見る比率が高い職種です。ただしいきなり大手転職サイトに数十万円を投じるのは順番として後です。

まず無料媒体で原稿を整え、応募がどこで止まっているかを確認してから、有料の出稿を検討してください。原稿が整っていない状態で掲載費を増やしても、費用対効果は上がりません。

営業の採用にいくらかかるか

手段1名あたりの費用目安特徴
ハローワーク・無料媒体0円未経験層は届く。経験者は集まりにくい
Indeed・求人ボックス(有料出稿)数万〜数十万円原稿の精度で大きく変動する
大手転職サイト数十万〜100万円超掲載課金のため、採用0でも費用は発生する
人材紹介年収の30〜35%年収400万円なら120〜140万円。決まるまで0円

営業職は離職率が相対的に高い職種でもあるため、採用単価と定着期間をセットで見てください。1名120万円で採用しても半年で辞めれば、実質の費用は跳ね上がります。

費用の考え方は採用代行の費用相場|料金体系別の目安と一人あたりの採用単価で整理しています。

営業の応募が来てから採用までにやること

営業職の求職者は、企業側の対応スピードや進め方をよく見ています。応募後の運び方で結果が変わります。

応募が来てからが勝負になる

営業職の求職者は、複数社に同時に応募しています。しかも自分が営業職であるぶん、企業側の対応スピードや進め方をよく見ています。

  1. 当日中に一次返信する翌日以降では、先に返事をくれた会社に決まっています。担当者が不在でも返せるよう、定型文を用意しておいてください。
  2. 面接日程の選択肢を増やす在職中の営業職は、平日日中に動けません。19時以降、土曜、オンライン面接。ひとつでも増やすと通過率が変わります。
  3. 初回はカジュアルな面談にする「まず情報交換から」という入口にすると、転職を決めきっていない層にも会えます。営業職は特にこの層が厚い職種です。
  4. 現場の営業を同席させる1日の流れ、ノルマの実態、上司との距離感。候補者がいちばん聞きたいことは、経営者より現場のほうが答えられます。
  5. 条件は面接で必ずすり合わせる固定給と歩合の内訳、想定年収、移動手段。求人票と違う条件を面接で出すと、その場で辞退されます。

面接では、適性と能力に関係のない事項を尋ねないよう注意してください。厚生労働省の「公正な採用選考の基本」は、本籍・出生地、家族に関すること、住宅状況、宗教や支持政党といった事項の把握は就職差別につながるおそれがあるとしています。あらかじめ質問項目と評価基準を決めておくと、この事故を防げます。

面接で、営業の適性をどう見るか

営業職の面接は、経歴書の数字だけでは判断できません。「前職で1位でした」が、自社でも再現されるとは限らないからです。

見るべきなのは実績の大きさではなく、その実績がどこまで本人の工夫によるものかです。次の順番で聞いていくと、そこが見えてきます。

  1. 「担当していた商材と、顧客層を教えてください」単価と検討期間を確認します。単価5万円で即決の商材と、単価500万円で半年かかる商材では、必要な力がまったく違います。自社の商材に近いかどうかが、最初の判断材料です。
  2. 「新規と既存の比率はどのくらいでしたか」既存フォロー中心だった人に、いきなり新規開拓を任せると苦しくなります。逆も同じです。
  3. 「案件はどうやって見つけていましたか」会社から配られたリストなのか、自分で探したのか。反響を待っていたのか、紹介をもらっていたのか。ここに本人の工夫が出ます。
  4. 「うまくいかなかった案件と、そのあと何を変えたか」成功体験より、この質問のほうが人物が分かります。原因を環境のせいだけにする人か、自分の打ち手を検証できる人かが見えます。
  5. 「前職の営業の仕組みを教えてください」ツール、マネジメント、資料、分業体制。仕組みが強い会社の実績は、本人の力とは限りません。逆に、仕組みがない中で数字を作っていた人は、自社でも動けます。

そして、面接は会社が選ぶ場であると同時に、候補者が会社を選ぶ場です。営業職の求職者は、面接での対応をそのまま「この会社の営業スタイル」として受け取ります。

質問攻めにするのではなく、商材や顧客について自社から説明する時間を必ず取ってください。入社後の1日を具体的に話せる会社ほど、辞退されにくくなります。

営業の募集開始から入社までのスケジュール

「来月から営業を増やしたい」という段階で募集を始めても、間に合いません。逆算しておく必要があります。

時期やること
入社の4ヶ月前6項目を社内で整理。商圏内の営業求人10件と固定給を比較して条件を決める
3ヶ月前求人原稿を作成。営業メンバーと職場の写真を撮影。媒体を決めて掲載開始
2〜3ヶ月前応募対応・面接。2週間ごとに数字を見て、職種名と原稿を1か所ずつ直す
1.5〜2ヶ月前内定。在職中の方は退職に1〜2ヶ月かかる前提で調整する
入社後1〜3ヶ月同行期間。担当顧客の引き継ぎと、単独訪問への移行

営業で特に重要なのが、入社後に「売れる状態」を用意しておくことです。担当してもらう顧客、商材の資料、同行する先輩。これがないまま現場に出すと、成果が出ないまま辞めていきます。

また、繁忙期の直前に入社してもらうスケジュールは避けたほうが無難です。教える側に余裕がない時期に入社すると、放置されたと感じさせてしまいます。

採用した営業に、定着してもらうために

厚生労働省の「令和6年雇用動向調査」によると、転職した人が前職を辞めた理由は、男性で「給料等収入が少なかった」10.1%、「職場の人間関係が好ましくなかった」9.0%、「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」8.6%が上位でした(定年・契約期間の満了、会社都合を除く)。

営業職の場合、これに加えて次の理由が重なります。

  1. 入社前に聞いた話と違うノルマ、新規の比率、事務作業の量。求人票と実態がずれていると、3ヶ月以内に辞められます。これは採用の問題ではなく、求人票の問題です。
  2. 売れる状態を作れていない顧客リストがない、商材の資料がない、同行してくれる人がいない。営業は個人の力量だけで決まる仕事ではありません。
  3. 評価の基準が不明瞭数字だけで評価されるのか、プロセスも見るのか。基準が見えないと、頑張る方向が定まりません。
  4. 相談できる相手がいない1人営業や、上司が別の業務で忙しい状態は、孤立につながります。週1回の短い面談を仕組みにしておいてください。

定着した実績は、そのまま次の求人票に書ける材料になります。「営業6名・平均勤続4年3ヶ月」「未経験入社2名が在籍」と書ける会社は、それだけで選ばれやすくなります。

当社が営業職の採用代行で担う範囲と料金は、営業職の採用代行のページで説明しています。採用代行そのものの仕組みは採用代行(RPO)とは?業務内容と費用相場、人材紹介との違いをご覧ください。

それでも営業が採用できないときは

改善した結果をどう測り、どこで打ち止めと判断するかを整理します。

求人を直したあと、何を見て判断するか

見る数字読み取ること判断の目安
表示回数職種名に検索語が入っているか前週比で動いているか
クリック率職種名と給与表記が効いているか下がったら職種名を戻す
応募数6項目が書けているか週1件を最初の目標に
応募者の経験狙った層に届いているかずれているなら職種名と商材の書き方
面接設定率返信速度と日程調整5割を下回るなら社内の対応
辞退の理由ノルマ・給与・業務内容のどこがネックか2件続いたら求人票を直す

変更は1回につき1か所、判断の期間は2週間を目安にしてください。同時に複数を変えると、何が効いたのか分からなくなります。

営業では辞退の理由を必ず記録してください。「ノルマが想定より厳しかった」「歩合の比率が高すぎた」。同じ理由が2件続いたら、それは求人票に書いていない情報です。

それでも営業を採用できない場合の3つの原因

  1. 固定給が商圏内で明確に下位にある歩合で上振れる設計でも、固定給が低いと生活の見通しが立ちません。同じエリアの営業求人を10件開いて、固定給がどの位置にあるかを確認してください。下から数えたほうが早いなら、原稿では埋まりません。
  2. 求める人物像が現実と合っていない「営業経験3年以上・要普通免許・PCスキル必須・35歳以下」のように条件を重ねると、該当者はほぼいなくなります。必須は1〜2個に絞ってください。
  3. 実態が厳しく、書けることがない飛び込み中心でノルマも重い。この場合は、書き方より先に働き方の設計を見直す必要があります。反響の仕組みを作る、既存顧客を割り当てる、営業事務を置く。採用でなく、事業側の課題です。

職種を問わない共通の切り分け方は、採用が難しい理由と対策|求人を出しても応募が来ない原因の切り分け方で解説しています。表示回数・クリック・応募数の3つで、どこが詰まっているかを判定できます。

自社で回せないときは、採用代行という選択肢がある

ここまでの内容は、すべて自社で実行できます。ただし、6項目を整理して原稿に落とし、毎週数字を見て直し続けるのは、専任者のいない会社には負担の大きい作業です。

採用代行(RPO)は、この「原稿を作り、掲載し、数字を見て直し続ける」部分を外に出すサービスです。

  • 向いているケース採用の専任者がいない。営業の増員を継続的に行っている。人材紹介の手数料が重くなっている。ノルマや歩合の書き方に迷っている。
  • 向いていないケース固定給が商圏内で明確に下位にある(条件の見直しが先)。年に1名採用するかどうか(月額の固定費が割高になる)。応募者への返信を社内で回せない(母集団形成型の代行では、応募後の対応は自社に残ります)。

営業職は年収が高い分、人材紹介の手数料も高くなります。当社が運用した案件の採用単価4万円という実績と、その数字が成立した条件は営業職の採用単価|紹介手数料の相場198万円と自社募集で下げる方法にまとめました。

よくある質問

ノルマがあると書くと、応募が減りませんか?

応募数は減る可能性があります。ただ、減るのは「ノルマがあるなら応募しなかった人」です。その人たちは面接まで進んでも辞退します。

書かずに応募を集めても、面接や入社後に判明して同じ結果になります。早い段階で分かるほうが、双方の時間の無駄が減ります。

歩合の平均額を出したくないのですが

金額に自信がない場合でも、書いたほうが有利に働きます。書かれていない求人は、求職者から「ほとんど出ないのだろう」と解釈されるためです。

平均額を出しにくいなら、年収例を複数出す形でも構いません。「入社1年目 380万円/3年目 460万円」のように、実在する社員の実績を使ってください。

未経験と経験者、どちらを狙うべきですか?

教える体制があるなら未経験、なければ経験者です。有効求人倍率2.14倍の職種で経験者だけに絞ると、待ち続けることになります。

両方を狙う場合は、求人を分けてください。1本の原稿で兼ねると、どちらの検索でも中途半端になります。

応募は来るのに、面接に来ません

返信の速度と、面接日程の選択肢を確認してください。営業職の求職者は在職中の人が多く、平日日中の面接には来られません。

また、応募から面接までの日数が長すぎないかも確認してください。書類選考に1週間かけている間に、他社で決まっています。

社用車がないと不利ですか?

営業職の求職者は移動手段を必ず確認します。社用車がなくても、マイカー利用の手当や公共交通機関での訪問が中心であることを書けば問題ありません。

書いていないことが不利になります。「マイカー利用可・ガソリン代全額支給」と書くだけで、応募の判断ができるようになります。

求人票を直しても応募が来ません

まず表示回数を確認してください。表示自体が少ないなら、原因は原稿ではなく職種名と媒体です。「営業スタッフ」では検索に引っかかりません。

表示はあるのに応募が0なら、原稿の中身です。6項目のうち、いくつ書けているかを数えてみてください。

まとめ:営業求人は比較されている前提で書く

営業の採用が難しいのは事実です。有効求人倍率は2.14倍で、全職業平均の約2倍。構造的に採りにくい職種です。

ただ、それだけではありません。有効求人75,431件のうち、ひと月で決まっているのは1,192件。新規求職者は前年より3.8%増えているのに、就職件数は13.1%減っています。マッチングが機能していないのです。

原因は、営業求人が求職者から見て全部同じに見えることです。職種名は営業スタッフ、給与は月給25万円〜、仕事内容は営業業務全般。これでは条件の良い順に選ばれます。

やることは決まっています。ノルマ、新規と既存の比率、給与の内訳、1日の行動量、商材と顧客層、営業以外の業務。この6つを書いてください。すべて会社がすでに知っていることで、条件を変える必要も費用をかける必要もありません。

私たちが運営する採用コミットは、この「実態を整理して原稿にし、掲載して、数字を見て直し続ける」部分を引き受ける月額定額の採用代行です。料金は初期費用10万円・月額10万円〜、成果報酬0円、採用人数の上限なし(税別・最低契約期間3ヶ月・媒体掲載費は別途)。応募者への返信・面接・採否の判断はお客様側に残ります。

ただし、固定給が商圏内で明確に下位にある場合は、代行を入れても応募は増えません。そのときは「まず条件を見直したほうがよい」と正直にお伝えします。いまの求人を見せていただければ、6項目のうち何が抜けているかだけでも判断できます。

費用の面から検討するなら、営業職の採用単価|紹介手数料の相場198万円と自社募集で下げる方法に営業職の相場をまとめています。

出典

本記事は株式会社Abey(採用代行サービス「採用コミット」運営)が制作しました。統計値は上記出典の公表値をそのまま引用し、確認日を併記しています。求人票の改善に関する記述は当社の実務経験に基づくもので、応募数の増加や採用成立を保証するものではありません。法令の適用については、個別の事案ごとにハローワーク・労働局・社会保険労務士等にご確認ください。

この記事を書いた人

弓川堅士のアバター 弓川堅士 代表取締役

長崎大学卒業後、上場企業グループ会社の事業部長を経て、株式会社Abeyを創業。
月10万円からの採用業務代行サービス「採用コミット」を立ち上げ、主に中小企業の中途採用(正社員・業務委託採用)を母集団形成から支援。

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