エンジニア採用の費用|職種別の相場と成立率7.3%の壁

エンジニアを人材紹介で採用すると、1名あたり170万〜270万円が目安になります。職種によって推定年収が578万〜889万円と幅があり、紹介手数料は理論年収の25〜35%で決まるためです。

ただしエンジニア採用でよく言われる「人がいない」は、統計を見ると正確ではありません。情報処理・通信技術者の有効求人倍率は1.39倍。建設の5.65倍や介護の3.63倍より、むしろ低い水準です。

それでも決まらない理由が、数字にはっきり出ています。この記事では費用の相場を押さえたうえで、エンジニア採用で本当に詰まっている場所を整理します。

この記事の要点

エンジニアの紹介手数料は、職種によって170万〜270万円。「エンジニア」と一括りにすると相場を読み違えます。ソフトウェア作成者は年収578.5万円、システムコンサルタント・設計者は889.0万円で、手数料に93万円の差がつきます。

  • 人がいないわけではない有効求人倍率は1.39倍で、建設5.65倍・介護3.63倍より低い水準。有効求職者は36,127人います。
  • 決まらないのが問題紹介6,313件に対し月の就職は461件。面談まで進んでも9割以上が成立していません。
  • 中小企業の壁は425万円システムコンサルタント・設計者の年収は、1,000人以上で1,010.4万円、10〜99人で585.1万円。

求人を出す前に、提示できる条件と求める要件の距離を確認するのが先です。

弓川堅士

弓川堅士

株式会社Abey
代表取締役

この記事の監修者

長崎大学卒業後、上場企業グループ会社の事業部長として組織づくり・採用業務を担い、株式会社Abeyを創業。
月10万円からの採用業務代行サービス「採用コミット」を立ち上げ、主に中小企業の中途採用(正社員・業務委託採用)を母集団形成から支援。現場で日々採用に向き合っている実務者の視点から、本記事の内容を監修しています。

目次

エンジニア採用の費用は「どのエンジニアか」で倍近く変わる

紹介手数料は「理論年収 × 料率」で決まります。まず職種ごとの年収を押さえます。

エンジニア系職種の推定年収の横棒グラフ。システムコンサルタント・設計者889.0万円、電気・電子・電気通信技術者703.9万円、その他の情報処理・通信技術者609.8万円、ソフトウェア作成者578.5万円
同じ「エンジニア」でも年収は310万円違う(令和7年賃金構造基本統計調査より当社算出)
職種推定年収料率25%料率30%料率35%労働者数
システムコンサルタント・設計者889.0万円222.3万円266.7万円311.2万円17万4,140人
電気・電子・電気通信技術者703.9万円176.0万円211.2万円246.4万円33万4,680人
その他の情報処理・通信技術者609.8万円152.5万円182.9万円213.4万円21万4,820人
ソフトウェア作成者578.5万円144.6万円173.6万円202.5万円81万7,860人

最も人数が多いのはソフトウェア作成者(81万7,860人)で、年収は578.5万円。料率30%なら173.6万円です。一方、上流を担うシステムコンサルタント・設計者は889.0万円で、手数料は266.7万円。同じ「エンジニア1名」でも93万円の差がつきます。

「エンジニア採用の相場は100万円台」といった一般論が当てはまるのは、実装を担う層までです。設計・コンサル層を紹介で採るなら、200万円台を見込む必要があります。

参考として、紹介手数料の全業種平均は常用就職1件あたり103万円(厚生労働省・令和6年度)。エンジニアはいずれの職種もこれを上回ります。職種別の相場を横断で見るなら採用単価とは?計算方法と職種別の相場、平均の見方に17職種の一覧があります。

「エンジニアがいない」は正確ではない

費用が高い理由を「人材不足だから」で片づけると、打ち手を間違えます。職業別の統計を見てください。

項目情報処理・通信技術者職業計
有効求人数50,307件2,073,013件
有効求職者数36,127人1,888,788人
紹介件数(月)6,313件352,962件
就職件数(月)461件114,632件
有効求人倍率1.39倍1.10倍

有効求人倍率は1.39倍。全職業平均の1.10倍とほとんど変わりません。建設・土木の5.65倍、介護の3.63倍、電気工事の3.32倍と比べれば、エンジニアは「求職者がいる職種」です。

実際、有効求職者は36,127人います。にもかかわらず、1か月に決まっているのは461件だけです。

求人が埋まるまで109か月かかる計算

いま出ている求人が埋まるまでの月数を比べた棒グラフ。一般事務5.4か月、職業計18.1か月、電気工事50.1か月、建築土木測量77.7か月、情報処理・通信109.1か月
有効求人数を月間の就職件数で割った値。情報処理・通信が最も長い(令和8年3月より当社算出)

有効求人50,307件を月461件で割ると109か月。9年分です。職業計の18.1か月、施工管理を含む建築・土木・測量の77.7か月と比べても突出しています。

母集団が薄いから滞留しているのではありません。求職者は3万6千人いるのに、成立していないのです。

紹介6,313件に対し、就職は461件

決定的なのがこの数字です。ハローワークで紹介まで進んだ6,313件のうち、就職に至ったのは461件。成立率は7.3%で、9割以上が決まっていません。

職業計の成立率は32.5%(352,962件中114,632件)ですから、エンジニアは平均の4分の1以下です。会って話しても折り合わない。これがエンジニア採用の実態です。

つまり費用をかけて母集団を増やしても、条件が合わなければ同じところで落ちます。掲載費や紹介手数料を積む前に、なぜ折り合わないのかを見る必要があります。

費用ではなく「なぜ決まらないのか」から整理したい場合は、エンジニアの採用が難しい理由|求人倍率1.39倍でも決まらない原因をご覧ください。

折り合わない最大の理由は、年収の壁

システムコンサルタント・設計者の年収を企業規模別に示した棒グラフ。1000人以上1010.4万円、100〜999人854.3万円、10〜99人585.1万円
企業規模による差は425.3万円。今回調べた職種のなかで最大(令和7年賃金構造基本統計調査より当社算出)
職種1,000人以上100〜999人10〜99人差
システムコンサルタント・設計者1,010.4万円854.3万円585.1万円425.3万円
その他の情報処理・通信技術者639.4万円621.4万円523.2万円116.2万円
ソフトウェア作成者640.9万円555.0万円518.2万円122.7万円

システムコンサルタント・設計者では、大企業と中小企業で425.3万円の差があります。建築技術者の275万円、営業職の231万円と比べても大きく、今回調べた職種のなかで最大でした。

上流のエンジニアを中小企業が採ろうとすると、賃金だけで比較された時点で勝負になりません。紹介6,313件に対し就職461件という成立率の低さは、この構造をそのまま表しています。

一方でソフトウェア作成者の差は122.7万円。上流ほど極端ではありません。どの層を狙うかで、勝負になるかどうかが変わります。企業規模による条件差の考え方は中小企業の採用コスト|一人当たりの相場と大企業との賃金差で整理しました。

エンジニア採用の費用を下げる順番

  • 1. 狙う層を1つに決める(費用0円・最優先)上流の設計・コンサル層か、実装を担うソフトウェア作成者か。年収で310万円、手数料で93万円違います。「エンジニア募集」のままだと、どちらにも届きません。
  • 2. 提示できる年収の上限を確認する(費用0円)同規模・同地域の相場と自社の提示額を並べます。上流層を中小企業の水準で募集しても、成立率7.3%の側に入るだけです。
  • 3. 賃金以外の条件を具体的に書く(費用0円)使用技術とバージョン、開発体制の人数、設計から関われるか、リモートの可否と頻度、裁量労働の有無、技術書やカンファレンス費用の負担。エンジニアが求人票で確認する項目です。
  • 4. 対象を広げる(費用0円)未経験、他業種からの転職、業務委託、副業、時短。実装層なら求職者は十分にいます。
  • 5. 媒体の配分を見直す(費用の組み替え)Indeedや求人ボックスでクリック単価と応募単価を比較します。エンジニア特化媒体は母集団が限られる分、単価が跳ねやすい傾向があります。
  • 6. 紹介の使い方を絞る(ここで大きく下がる)実装層は自社募集へ、上流層だけ紹介を残す。173.6万円が掲載費数万円に置き換われば、削減幅は大きくなります。

順番が大事です。狙う層を決めないまま媒体や手法を変えても、成立率7.3%の構造は変わりません。手法別の実額から削減余地を見るなら採用コスト削減の方法|手法別の相場と一人当たりを下げる順番もあわせてご覧ください。

自社募集に切り替えたときの費用

紹介手数料をソフトウェア作成者の173.6万円、自社募集を「採用代行の月額10万円+初期費用10万円+掲載費 月3万円」で1年間続けた場合(合計166万円)で比べます。

年間の採用人数人材紹介(173.6万円×人数)自社募集+採用代行(年166万円)安いほう
1名173.6万円166万円自社募集+採用代行
2名347.2万円166万円自社募集+採用代行
3名520.8万円166万円自社募集+採用代行

金額の上では年1名でも自社募集が有利です。ただしこれは「1年間で1名は採用できる」ことが前提で、自社募集は採用できなくても月額と掲載費が出ていきます。

正直に書くと、上流の設計・コンサル層は求人媒体で母集団を作りにくい職種です。実装層やインフラ、社内SE、未経験からの育成枠であれば媒体で母集団が作れますが、経験豊富なアーキテクトを媒体だけで採るのは現実的ではありません。

自社募集への切り替えを外部に任せる場合の対応範囲はエンジニアの採用代行サービスにまとめています。

エンジニア採用の費用についてよくある質問

エンジニアの採用単価の相場はいくらですか?

人材紹介なら、料率30%として職種別に173.6万円(ソフトウェア作成者)から266.7万円(システムコンサルタント・設計者)です。参考として紹介手数料の全業種平均は常用就職1件あたり103万円(厚生労働省・令和6年度)で、エンジニアはいずれも上回ります。

求人広告経由なら掲載費の投じ方で数万円から数十万円、ハローワークや無料媒体は0円です。「エンジニア」で一括りにせず、狙う層の年収から逆算してください。

エンジニアは本当に人手不足なのですか?

有効求人倍率で見ると1.39倍(令和8年3月)で、全職業平均1.10倍とほとんど変わりません。建設・土木の5.65倍や介護の3.63倍と比べれば低い水準で、有効求職者も36,127人います。

問題は人数ではなく成立率です。紹介6,313件に対し就職は461件、成立率7.3%。職業計の32.5%と比べて4分の1以下で、会っても折り合っていません。

中小企業でもエンジニアを採用できますか?

狙う層によります。システムコンサルタント・設計者は企業規模で425.3万円の年収差があり、賃金で比較されると勝負になりません。一方でソフトウェア作成者の差は122.7万円で、上流ほど極端ではありません。

実装層・社内SE・未経験からの育成枠であれば、中小企業でも十分に採用できます。使用技術、設計から関われるか、リモートの可否といった賃金以外の条件で差をつけてください。

人材紹介と自社募集、どちらを選ぶべきですか?

層で分けるのが現実的です。実装層やインフラ、社内SE、未経験の育成枠は求人媒体で母集団が作れます。金額でも年1名から自社募集のほうが安くなります。

一方で経験豊富なアーキテクトや上流の設計者を媒体だけで採るのは現実的ではありません。ここは紹介を残すほうが合理的です。全部を一方に寄せる必要はありません。

まとめ:費用より先に、折り合わない理由を見る

エンジニアの紹介手数料は、職種によって173.6万円から266.7万円。「エンジニア」と一括りにすると93万円読み違えます。

そして有効求人倍率は1.39倍で、求職者は36,127人います。人がいないのではなく、紹介6,313件に対し就職461件という成立率7.3%が問題です。その背景には、システムコンサルタント・設計者で425.3万円という企業規模の年収差があります。

費用を積む前に、狙う層を決め、提示できる条件との距離を測ってください。実装層まで対象を広げられるなら、自社募集は十分に機能します。

私たちが運営する採用コミットは、株式会社Abeyが提供する月額定額の採用代行です。求人原稿の制作からIndeed・求人ボックス・エンゲージ・Airワーク等の媒体運用、週次レポートまでを担い、応募者への返信・面接・採否の判断は自社に残ります。料金は初期費用10万円・月額10万円〜、成果報酬0円、採用人数の上限なし(税別・最低契約期間3ヶ月・媒体掲載費は別途)。

プランごとの詳細は料金プランのページに掲載しています。エンジニアは層によって媒体で採れるかどうかが分かれるため、まず「その要件で母集団が作れるか」を正直にお伝えします。難しい場合はその理由もお伝えします。

応募が止まっている場所を先に特定しておくと、無駄な出稿を避けられます。切り分けの手順は採用が難しい理由と対策|求人を出しても応募が来ない原因の切り分け方にまとめました。

出典

本記事は株式会社Abey(採用代行サービス「採用コミット」運営)が制作しました。賃金・有効求人倍率・求人数・就職件数の数値は上記の原表を確認したうえで記載し、調査名と時点、確認日を併記しています。推定年収(きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額)、料率別の手数料額、成立率、求人が埋まるまでの月数、年間費用の比較(掲載費を月3万円と仮定)は当社による試算です。「情報処理・通信技術者」は職業分類であり、特定の技術領域だけを抜き出した数値ではありません。地域・技術領域・募集条件により変動します。

この記事を書いた人

弓川堅士のアバター 弓川堅士 代表取締役

長崎大学卒業後、上場企業グループ会社の事業部長を経て、株式会社Abeyを創業。
月10万円からの採用業務代行サービス「採用コミット」を立ち上げ、主に中小企業の中途採用(正社員・業務委託採用)を母集団形成から支援。

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