介護の採用単価|紹介手数料の相場89万円と返金されない3か月の壁

介護職員を人材紹介で採用したときの手数料は、常勤・介護福祉士ありで1人あたり89万1,373円です。業界団体が2,002施設から回答を集めた実態調査の数値で、430施設のうち142施設(33.0%)は100万円を超えていました。

一方、厚生労働省が公表している介護の平均手数料額は55万1千円です。同じ「介護の紹介手数料」でも、34万円の開きがあります。どちらが正しいという話ではなく、数えている対象が違います。

この記事では、2つの公的データを突き合わせて介護の採用単価がいくらなのかを整理し、さらに「早期に辞められたとき手数料はいくら返ってくるのか」という、相場表には出てこない部分まで数字で見ていきます。

この記事の要点

介護職員の紹介手数料は、常勤・介護福祉士ありで1人89万1,373円。厚労省が公表する介護の平均55万1千円と差があるのは、そちらがパート・非常勤も含む全体平均だからです。

  • 100万円超が3社に1社430施設のうち142施設。最高額は220万円でした。
  • 退職者の57.4%が半年以内紹介で採用して辞めた985人のうち566人です。
  • 返金は3か月で効かなくなる3か月超〜半年で辞められると、57.6%の施設が返金ゼロ。

年2名以上を採用するなら、自施設で母集団を作れる状態にしたほうが安く済みます。

弓川堅士

弓川堅士

株式会社Abey
代表取締役

この記事の監修者

長崎大学卒業後、上場企業グループ会社の事業部長として組織づくり・採用業務を担い、株式会社Abeyを創業。
月10万円からの採用業務代行サービス「採用コミット」を立ち上げ、主に中小企業の中途採用(正社員・業務委託採用)を母集団形成から支援。現場で日々採用に向き合っている実務者の視点から、本記事の内容を監修しています。

目次

介護の採用単価は、手法によって0円から90万円まで分かれる

まず全体像です。介護職員を1名採用するのにかかる費用は、どの手法を使うかで大きく変わります。

手法1名あたりの費用目安特徴
ハローワーク0円掲載費はかからない。地元志向・シニア層に届く
無料媒体(エンゲージ・Airワーク)0円採用ページを無料で作れる。単体では露出が不足する
Indeed・求人ボックス(有料出稿)数万〜数十万円無資格・未経験にも届く。原稿の精度で大きく変動する
介護特化の求人サイト数十万円〜有資格者に届く。成功報酬型が中心
人材紹介(常勤・介護福祉士あり)89万1,373円決まるまで費用は発生しない。100万円超も3社に1社
人材紹介(常勤・資格なし)67万483円資格の有無で22万円下がる

金額の根拠がはっきりしているのは人材紹介です。以下でその中身を見ていきます。

同じ調査では看護職員の手数料も集計されており、看護師の採用単価|紹介手数料の相場83万円と中途採用の離職率で扱っています。

介護の紹介手数料は「常勤・有資格」で89万円

介護の実額平均は55万1千円(厚生労働省)

厚生労働省は、医療・介護・保育分野について、職業紹介事業者に実際に支払われた手数料の平均額を職種別に公表しています。令和5年度実績では介護が55万1千円で、4分野のなかで最も低い水準でした。

職業紹介事業者に支払われた平均手数料額の棒グラフ。医師82.4万円、看護63.9万円、保育64.6万円、介護55.1万円
介護は55万1千円。医師・看護・保育と比べて最も低い(厚生労働省・令和5年度実績)

ただしこの数字には注意点があります。集計の対象が常用就職(無期雇用または4ヶ月以上の期間を定めて雇用される者)で、パート・非常勤の紹介も含まれています。介護は非常勤の比率が高い分野です。

業界団体の調査では、常勤・介護福祉士ありが89万1,373円

全国老人福祉施設協議会が会員施設7,880件に調査し、2,002施設から有効回答を得た「令和5年度 人材紹介手数料実態調査」では、雇用条件別の内訳が出ています。

介護職員の1人あたり紹介手数料の棒グラフ。常勤介護福祉士あり89.1万円、常勤資格なし67.0万円、非常勤資格あり37.6万円、非常勤資格なし33.0万円
常勤か非常勤か、資格があるかどうかで手数料は3倍近く違う
雇用条件施設数採用人数1人あたり平均手数料
常勤・介護福祉士あり430施設920人891,373円
常勤・資格なし372施設772人670,483円
非常勤・介護福祉士あり71施設104人375,991円
非常勤・資格なし122施設180人329,659円

常勤・有資格の89万1,373円に対し、非常勤・資格なしは32万9,659円。同じ介護職員でも2.7倍の開きがあります。

なぜ介護の採用単価に55万円と89万円の2つが出るのか

理由は、数えている対象の違いです。厚生労働省の55万1千円は常勤も非常勤もまとめた平均で、上の表とは別の統計による全国平均です。上の表のような雇用条件別の内訳を混ぜた数字だと考えてください。非常勤の手数料が30万円台であることを踏まえれば、全体平均が下がるのは当然です。

施設が「常勤の介護福祉士を1人採りたい」と考えたときに実際に請求される額は、55万円ではなく89万円のほうに近いと見ておくべきです。相場を調べるときは、常勤か非常勤か、有資格か無資格かを必ず揃えて比べてください。

介護職員の平均賃金は、きまって支給する現金給与額が月27万7,700円、年間賞与その他特別給与額が54万7,800円です(令和7年賃金構造基本統計調査)。年収に換算すると約388万円で、89万1,373円はその約23%にあたります。よく言われる「年収の20〜35%」というレンジと整合します。

介護は3社に1社が100万円を超えている

平均だけを見ると実態を見誤ります。常勤・介護福祉士ありで採用した430施設のうち、142施設(33.0%)は1人あたりの手数料が100万円以上でした。最高額は220万円です。

調査全体では1,976人の採用に対して総額14億3,611万7,868円が支払われています。1施設あたりで見ると、常勤・有資格の紹介を使った施設は平均190万7,124円を負担している計算です。

他職種との比較は採用単価とは?計算方法と職種別の相場、平均の見方に17職種の相場を一覧化しています。

介護職が早期に辞めたとき、手数料はほとんど返ってこない

採用単価を手数料の額だけで判断すると、いちばん大きなリスクを見落とします。早期離職です。

紹介で採用した介護職員、退職985人のうち566人が半年以内

同じ実態調査によると、人材紹介で採用したのち退職した介護職員は460施設で985人。そのうち566人(57.4%)が採用から半年以内の退職でした。採用から1か月以内の退職に限っても172人(17.5%)います。

厚生労働省の統計でも、紹介事業者経由で就職した介護職の6ヶ月以内離職率は15.3%(令和4年度実績・無期雇用)で、医師3.0%・看護10.5%・保育12.2%と比べて最も高い水準です。

この2つの数字は分母が違うので混同しないでください。厚労省の15.3%は紹介で就職した人全体のうち半年以内に辞めた割合、業界団体の57.4%はすでに退職した人のうち半年以内だった割合です。前者は「6人に1人が半年で辞める」、後者は「辞めるときは早い段階で辞める」ことを示しています。

介護の返金率は、在職期間が延びるほど効かなくなる

「返戻金規定があるから大丈夫」と考えがちですが、実態は違います。同調査には、退職までの在職期間ごとに実際いくら返金されたかの分布が載っています。

手数料の返金が0%だった施設の割合の棒グラフ。1か月以内9.2%、1か月超〜3か月17.8%、3か月超〜半年57.6%、半年超88.8%
3か月を超えて辞められると、返金はほぼ期待できなくなる
  • 1か月以内に退職した場合返金率0%だったのは130施設中12施設(9.2%)。逆に50%以上が返金された施設は67施設(51.5%)で、半数以上は手数料の半分以上が戻っています。
  • 1か月超〜3か月以内返金0%が157施設中28施設(17.8%)。10%超〜30%の帯に76施設が集まり、返金率が一段下がります。
  • 3か月超〜半年以内返金0%が125施設中72施設(57.6%)。この時点で過半数の施設が1円も戻っていません。
  • 半年超返金0%が188施設中167施設(88.8%)。ほぼ返らないと考えるべき領域です。

先ほどの「退職者の57.4%が半年以内」という数字と重ねると、実態が見えてきます。辞められる時期として最も多いのは1か月超〜半年で、そこはちょうど返金がほとんど効かなくなる帯なのです。

契約前に確認する4点

  • 返金の対象期間と逓減の刻み「1か月以内80%・3か月以内50%」のように日数で減ります。何日で何%になるかを表で出してもらいます。
  • 返金か、代替紹介か現金の返金ではなく「無料で次の人を紹介する」形の契約があります。次が決まる保証はないため、返金と同じ価値ではありません。
  • 自己都合退職に限るか試用期間中の不採用や、施設側の都合による契約終了が対象外になっていることがあります。
  • 手数料表の提示有料職業紹介の手数料は、厚生労働大臣に届け出た手数料表の範囲を超えて請求できません。金額に疑問があるときは提示を求められます。

医療機関の職種別の考え方はクリニックの採用コスト|職種別の相場と一人当たりの削減方法にまとめました。

自社募集に切り替えたときの介護の採用単価

人材紹介は決まるまで費用が発生しない反面、採用するたびに定額がかかります。自社募集は掲載費が先に出ていく代わりに、採用人数が増えるほど1名あたりの単価が下がります。

自社募集の単価は、いきなり「採用単価」で見ても改善点が分かりません。4つの段階に分解します。

  • クリック単価が高い媒体の設定か原稿のタイトルの問題です。「介護職員」だけでなく、サービス種別(特養・デイ・訪問介護・グループホーム)と最寄り駅が求職者の検索語と合っているかを見ます。
  • 応募単価が高い(クリックはあるのに応募が少ない)原稿の中身か応募フォームの問題です。夜勤の回数、処遇改善手当の金額、フロアの利用者数と職員数、送迎の有無など、介護職が実際に知りたい条件が書かれているかを確認します。
  • 面接単価が高い(応募はあるのに面接に至らない)一次返信の速さと日程調整の問題です。ここは媒体ではなく施設側のオペレーションであることがほとんどです。
  • 採用単価が高い(面接はしているが決まらない)選考基準か提示条件の折り合いです。無資格・未経験まで対象を広げられるかどうかで母集団の大きさが変わります。

介護の採用単価を年間総額で比べると、逆転点は「年2名」

紹介手数料を常勤・有資格の89万1,373円、自社募集を「採用代行の月額10万円+初期費用10万円+掲載費 月3万円」で1年間続けた場合(合計166万円)で比べます。

年間の採用人数人材紹介(89.1万円×人数)自社募集+採用代行(年166万円)安いほう
1名89.1万円166万円人材紹介
2名178.2万円166万円自社募集+採用代行
3名267.3万円166万円自社募集+採用代行
5名445.5万円166万円自社募集+採用代行
8名712.8万円166万円自社募集+採用代行

逆転点は年2名です。単発の欠員補充が年1名で収まる施設なら人材紹介のほうが合理的ですが、介護は離職率の高い分野で、年2名以上の入れ替わりがある施設は珍しくありません。

なお、非常勤やパートの採用が中心で、厚生労働省の平均額55万1千円に近い水準で採用できている場合は、逆転点は年4名にずれます。自施設が実際に払っている1人あたりの額を先に出してから比べてください。

この計算は掲載費を月3万円と置いた場合のものです。地域や職種の競合状況で掲載費は変わります。費用の考え方そのものは採用代行の費用相場|料金体系別の目安と一人あたりの採用単価で詳しく整理しています。

介護の採用単価を下げる順番

  • 1. 応募から面接までの歩留まりを直す(費用0円・即効)応募当日に返信できているか、日程の候補を3つ以上出しているか、見学だけの受け入れ枠があるか。1円もかけずに面接単価と採用単価の両方に効きます。
  • 2. 求人原稿に「条件」を書き切る(費用0円)給与の内訳(基本給・処遇改善手当・夜勤手当)、夜勤の回数、フロアの利用者数と職員配置、送迎業務の有無、有給の取得実績。介護職が転職時に確認する項目を推測させずに書きます。
  • 3. 対象を広げる(費用0円)無資格・未経験、他業種からの転職、短時間勤務、シニア層。資格要件を外せる業務があるなら、母集団は一気に広がります。
  • 4. 媒体の配分を見直す(費用の組み替え)無資格・未経験を狙うならIndeedや求人ボックス、有資格者を狙うならジョブメドレーや介護特化サイト。クリック単価と応募単価を媒体ごとに比較して配分します。
  • 5. 掲載費の総額を見直す(最後)1〜4をやらずに掲載費だけ増やすと費用が消えるだけです。逆に原稿が整う前に掲載費を切ると母集団そのものがなくなります。

この1〜4を施設の職員が本業と並行して回すのは、現実には難しいところです。私たちが提供している介護職員の採用代行(月額10万円〜)は、この原稿制作と媒体運用、週次の改善までを引き受けるサービスです。応募者への返信・面接・採否の判断は施設に残ります。

応募が来ない原因の切り分けや、刺さる条件の書き方は介護職の採用が難しい理由|応募が来ない求人票の共通点と対策にまとめています。

介護の採用単価についてよくある質問

介護の採用単価の平均はいくらですか?

人材紹介の場合、常勤・介護福祉士ありで89万1,373円、常勤・資格なしで67万483円、非常勤なら33万〜38万円台です(全国老人福祉施設協議会・令和5年度調査)。

厚生労働省が公表している全体平均は55万1千円ですが、こちらは非常勤を含む数字です。求人広告は掲載費の投じ方で数万円から数十万円、ハローワークや無料媒体は0円です。

介護の紹介手数料は交渉できますか?

紹介会社が厚生労働大臣に届け出た手数料表の範囲内であれば、料率や支払条件を相談する余地はあります。複数名をまとめて依頼する場合は特にそうです。

ただし、値下げよりも返戻金規定の条件を詰めるほうが、結果的に負担は小さくなることが多いです。調査では3か月超〜半年で辞められた場合、57.6%の施設が返金ゼロでした。

介護福祉士の資格の有無で手数料はどれくらい変わりますか?

常勤の場合、介護福祉士ありが89万1,373円、資格なしが67万483円で、その差は約22万円です。無資格・未経験を採用して施設内で資格取得を支援する体制があるなら、手数料の面でも有利になります。

求人媒体経由であればこの差はさらに小さくなります。

介護福祉士やケアマネジャーなど有資格者を対象にした募集はケアマネジャー・介護福祉士の採用代行で扱っています。

掲載費をかけずに運用してもらえますか?

技術的には可能です。ハローワーク、Airワーク、エンゲージなど無料で掲載できる媒体だけで運用する形になります。

ただしIndeedのような検索型媒体は無料掲載だと表示順位が上がりにくく、運用の月額だけ払って広告費をゼロにすると成果は出にくくなります。少額からでも出稿することをおすすめします。

まとめ:介護の採用単価は「雇用条件」と「返金条件」で決まる

介護の紹介手数料は、常勤・介護福祉士ありで89万1,373円。3社に1社は100万円を超え、最高額は220万円でした。厚生労働省の平均55万1千円と差があるのは、そちらが非常勤を含む全体平均だからです。相場を調べるときは、常勤か非常勤か、有資格か無資格かを揃えて比べてください。

そして紹介で採用して退職した985人のうち566人が半年以内の退職でした。返金は3か月を超えるとほとんど効きません。手数料の額よりも、返戻金規定の中身のほうが実質の負担を左右します。

年2名以上を採用するなら、自施設で母集団を作れる状態にしたほうが総額は下がる計算です。ただしそれは、求人原稿が整い、応募への返信が滞りなく回ることが前提になります。

私たちが運営する採用コミットは、株式会社Abeyが提供する月額定額の採用代行です。求人原稿の制作からIndeed・求人ボックス・ジョブメドレー等の媒体運用、週次レポートまでを担い、応募者への返信・面接・採否の判断は施設に残します。料金は初期費用10万円・月額10万円〜、成果報酬0円、採用人数の上限なし(税別・最低契約期間3ヶ月・媒体掲載費は別途)。何人採用しても月額は変わりません。

介護施設向けの支援内容は介護職員の採用代行のページに、プランごとの詳細は料金プランのページに掲載しています。

訪問介護事業所は訪問介護ヘルパーの採用代行、障害福祉の事業所は障害福祉事業所の採用代行で扱っています。

人材紹介そのものを使うべきかどうかは、手数料の実額と返金条件から判断できます。介護の人材紹介|手数料の相場89万円と使わなくていいケースに整理しました。

出典

本記事は株式会社Abey(採用代行サービス「採用コミット」運営)が制作しました。手数料額・退職状況・返金率・離職率・賃金の数値は上記の原典を確認したうえで記載し、調査名と年度、確認日を併記しています。返金率0%の施設割合は、報告書の在職期間別・返金率別の施設数から当社が算出しました。年収の換算額(きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額)および年間費用の比較(掲載費を月3万円と仮定)も当社による試算であり、地域・職種・募集条件により変動します。

この記事を書いた人

弓川堅士のアバター 弓川堅士 代表取締役

長崎大学卒業後、上場企業グループ会社の事業部長を経て、株式会社Abeyを創業。
月10万円からの採用業務代行サービス「採用コミット」を立ち上げ、主に中小企業の中途採用(正社員・業務委託採用)を母集団形成から支援。

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