介護の人材紹介|手数料の相場89万円と使わなくていいケース

介護の人材紹介を使うと、常勤・介護福祉士ありで1人89万1,373円の手数料がかかります。3社に1社は100万円を超え、最高額は220万円でした(全国老人福祉施設協議会・令和5年度調査)。
この金額を払う価値があるかどうかは、施設の状況によります。ただし判断材料としてひとつ言えるのは、介護は「会えれば決まる」職種だということです。紹介まで進んだうち就職に至った割合は47.4%で、職業計の32.5%を上回ります。
つまり母集団さえ作れれば、紹介に頼らなくても採用は成立します。この記事では手数料の実額と返金の実態を押さえたうえで、紹介を使うべきケースと使わなくていいケースを整理します。
この記事の要点
介護の人材紹介手数料は、常勤・介護福祉士ありで1人89万1,373円。厚生労働省が公表する介護の平均55万1千円と差があるのは、そちらがパート・非常勤を含む全体平均だからです。
- 介護は会えれば決まる職種紹介から就職に至る割合は47.4%で、職業計32.5%を上回ります。母集団が作れれば紹介は必須ではありません。
- 返金は3か月で効かなくなる3か月超〜半年で退職された場合、57.6%の施設が1円も返金を受けていません。
- 転職勧奨は2年間禁止されている令和3年4月から、求職者への就職お祝い金と、紹介して就職した労働者への転職勧奨が規制されました。
年2名以上を採用するなら、自施設で募集できる状態にしたほうが総額は下がります。
介護の人材紹介手数料は1人89万円
全国老人福祉施設協議会が会員施設7,880件に調査し、2,002施設から有効回答を得た「令和5年度 人材紹介手数料実態調査」に、雇用条件別の実額が出ています。

| 雇用条件 | 施設数 | 採用人数 | 1人あたり平均手数料 |
|---|---|---|---|
| 常勤・介護福祉士あり | 430施設 | 920人 | 891,373円 |
| 常勤・資格なし | 372施設 | 772人 | 670,483円 |
| 非常勤・介護福祉士あり | 71施設 | 104人 | 375,991円 |
| 非常勤・資格なし | 122施設 | 180人 | 329,659円 |
常勤・有資格で採用した430施設のうち、142施設(33.0%)が1人あたり100万円以上を支払っていました。最高額は220万円です。
介護職員の平均賃金は、きまって支給する現金給与額が月27万7,700円、年間賞与その他特別給与額が54万7,800円(令和7年賃金構造基本統計調査)。年収に換算すると約388万円で、89万1,373円はその約23%にあたります。
なお厚生労働省が公表する介護分野の平均手数料額は55万1千円ですが、こちらはパート・非常勤も含む常用就職全体の平均です。常勤を採るなら89万円のほうが実態に近い数字になります。採用単価全体の考え方は介護の採用単価|紹介手数料の相場89万円と返金されない3か月の壁で整理しました。
介護は「会えれば決まる」職種
人材紹介を使うかどうかを判断するうえで、重要な数字があります。紹介まで進んだうち、実際に就職に至った割合です。

介護サービス職業従事者は、紹介11,405件に対し就職5,411件で47.4%。職業計の32.5%を大きく上回ります。エンジニア(情報処理・通信技術者)の7.3%と比べれば、その差は明らかです。
これが意味するのは単純です。介護は、候補者と会うところまで行けば約半分が決まる職種だということ。条件で大きく折り合わないことが少ないためです。
裏を返せば、「会う機会をどう作るか」だけが課題になります。人材紹介はその機会をお金で買う手段ですが、求人媒体でも同じ機会は作れます。有効求人倍率は3.63倍と高いものの、有効求職者は52,757人います。
契約前に確認すべき返金条件
手数料の額より、実質の負担を左右するのが返戻金規定です。同じ実態調査には、退職までの在職期間ごとに実際いくら返金されたかの分布が載っています。

3か月超〜半年で退職された場合、57.6%の施設が1円も返金を受けていません。半年を超えれば88.8%です。
そして同じ調査で、紹介で採用したのち退職した介護職員985人のうち566人(57.4%)が半年以内の退職でした。辞められやすい時期と、返金が効かなくなる時期が重なっています。
- 返金の対象期間と逓減の刻み「1か月以内80%・3か月以内50%」のように日数で減ります。何日で何%になるかを表で出してもらいます。
- 返金か、代替紹介か現金の返金ではなく「無料で次の人を紹介する」形の契約があります。次が決まる保証はないため、返金と同じ価値ではありません。
- 自己都合退職に限るか試用期間中の不採用や、施設側の都合による契約終了が対象外になっていることがあります。
- 手数料表の提示有料職業紹介の手数料は、厚生労働大臣に届け出た手数料表の範囲を超えて請求できません。金額に疑問があるときは提示を求められます。
転職勧奨とお祝い金は禁止されている
介護分野では、紹介会社が一度就職させた職員に再び転職を持ちかける行為が問題になってきました。これについては規制が入っています。
令和3年4月1日から、職業安定法に基づく指針が改正され、「就職お祝い金」などの名目で求職者に金銭等を提供して求職の申し込みを勧奨することが禁止されました。
あわせて、職業紹介事業者が自ら紹介して就職した労働者(無期雇用に限る)に対し、就職日から2年間は転職の勧奨を行ってはならないとされています。
施設側としては、紹介会社を選ぶ際にこの点を確認しておく意味があります。早期離職が続く場合、施設側の受け入れ体制だけでなく、こうした行為が背景にある可能性も考えられるためです。気になる場合は都道府県労働局の需給調整事業部門が相談窓口になります。
人材紹介を使うべきケース、使わなくていいケース
- 使うべきケース:今月中に1名必要紹介は決まるまで費用が発生せず、母集団形成の時間を買えます。急な退職の補充や、加算要件を満たすために期限がある場合は合理的です。
- 使うべきケース:年1名の欠員補充で足りている自施設で募集する体制(原稿制作・媒体運用・応募対応)を整えるコストより、年1回89万円のほうが安く済むことがあります。
- 使わなくていいケース:年2名以上の入れ替わりがある89.1万円×2名=178.2万円。自施設募集(採用代行の月額10万円+初期費用10万円+掲載費月3万円で年166万円)のほうが安くなります。
- 使わなくていいケース:無資格・未経験も対象にできる資格なしなら手数料は67万483円に下がりますが、この層は求人媒体でこそ母集団が作れます。紹介に頼る必然性が薄い層です。
- 使わなくていいケース:非常勤・パートが中心非常勤の手数料は33万〜38万円ですが、求人媒体なら数万円で集まります。差が最も大きい領域です。
全部をやめる必要も、全部を続ける必要もありません。期限のある1名は紹介、継続的な募集は自施設。この使い分けが現実的です。
自施設で募集するときに必要なこと
介護は会えれば約半分が決まる職種ですが、会うところまで行くには求人票が整っている必要があります。
- 給与の内訳を分解する基本給、処遇改善手当、夜勤手当をそれぞれ金額で。「月給25万円以上」だけでは何が含まれるか伝わりません。
- 夜勤の回数と体制を書く月何回か、夜勤者は何人体制か、仮眠は取れるか。応募をためらう最大の要因です。
- フロアの利用者数と職員配置を書く何人の利用者を何人で見ているか。介護度の傾向も含めて書くと、業務量が想像できます。
- 送迎業務の有無を明記するデイサービスでは運転業務があるかどうかが判断材料になります。
- 有給の取得実績を書く「取得推進中」ではなく、実際の平均取得日数を書きます。
- 対象を広げる無資格・未経験、他業種からの転職、短時間勤務、シニア層。資格要件を外せる業務があるなら母集団は一気に広がります。
応募が来ない施設に共通する求人票の特徴と直し方は、介護職の採用が難しい理由|応募が来ない求人票の共通点と対策で詳しく解説しています。
介護の人材紹介についてよくある質問
介護の人材紹介手数料の相場はいくらですか?
常勤・介護福祉士ありで89万1,373円、常勤・資格なしで67万483円、非常勤は33万〜38万円台です(全国老人福祉施設協議会・令和5年度調査)。厚生労働省が公表する介護分野の平均は55万1千円ですが、こちらはパート・非常勤を含む数字です。
常勤・有資格で採用した施設の33.0%は100万円以上を支払っており、最高額は220万円でした。「相場いくら」よりも、自施設の雇用条件で見積もりを取ることが先です。
紹介手数料は交渉できますか?
紹介会社が厚生労働大臣に届け出た手数料表の範囲内であれば、料率や支払条件を相談する余地はあります。複数名をまとめて依頼する場合は特にそうです。
ただし値下げより返戻金規定を詰めるほうが、実質の負担は下がります。3か月超〜半年で辞められた場合、57.6%の施設が返金ゼロという実態があるためです。
紹介で採用した職員がすぐ辞めてしまいます
紹介で採用して退職した介護職員985人のうち、566人(57.4%)が半年以内の退職でした。1か月以内の退職も172人(17.5%)います。珍しいことではありません。
受け入れ体制の見直しが基本ですが、令和3年4月から紹介事業者による2年間の転職勧奨が禁止されている点も知っておいてください。不審な点があれば都道府県労働局に相談できます。
人材紹介をやめて自施設募集に切り替えられますか?
介護は紹介から就職に至る割合が47.4%と職業計32.5%より高く、会えれば決まる職種です。会う機会さえ作れれば、紹介に頼らなくても採用は成立します。
年2名以上の採用があるなら、自施設で募集できる状態にしたほうが総額は下がります。ただし求人票が整っていることが前提です。給与の内訳、夜勤の回数、職員配置を書き切れているかを先に確認してください。
まとめ:会う機会をどう作るかだけの問題
介護の人材紹介手数料は、常勤・介護福祉士ありで89万1,373円。3社に1社は100万円を超えます。返金は3か月を超えるとほとんど効かず、退職者の57.4%は半年以内です。
一方で介護は、紹介から就職に至る割合が47.4%と職業計を上回る職種です。会えば決まる。だから課題は「会う機会をどう作るか」だけに絞られます。
期限のある1名は紹介、継続的な募集は自施設。年2名以上の入れ替わりがあるなら、自施設で募集できる状態にしたほうが総額は下がります。
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手法ごとの費用差から削減余地を見るなら、採用コスト削減の方法|手法別の相場と一人当たりを下げる順番もあわせてご覧ください。
出典
- 公益社団法人 全国老人福祉施設協議会 介護人材対策委員会「令和5年度 人材紹介手数料実態調査報告」(調査数7,880施設・有効回答2,002施設/退職状況の対象期間は令和4年4月〜令和5年3月)(調査結果報告書 PDF)確認日 2026年9月11日
- 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年3月分及び令和7年度分)」参考統計表6(全国計・常用(パート含む)・8年3月)(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_72811.html)確認日 2026年9月11日
- 厚生労働省「『就職お祝い金』などの名目で求職者に金銭等を提供して求職の申し込みの勧奨を行うことを禁止しました」(令和3年4月1日施行)(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000049528_00007.html)確認日 2026年9月11日
- 厚生労働省「地域ブロック別の職種別平均手数料及び離職率について」(令和5年度実績)(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/36163_00001.html)確認日 2026年9月11日
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」職種(小分類)第1表(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2025/index.html)確認日 2026年9月11日
本記事は株式会社Abey(採用代行サービス「採用コミット」運営)が制作しました。手数料額・退職状況・返金率・有効求人倍率・賃金の数値は上記の原典を確認したうえで記載し、調査名と年度、確認日を併記しています。返金率0%の施設割合および紹介から就職に至った割合(就職件数÷紹介件数)は、公表値から当社が算出しました。年間費用の比較(掲載費を月3万円と仮定)も当社による試算であり、地域・雇用条件により変動します。
