採用単価とは?計算方法と職種別の相場、平均の見方

採用単価とは、1名を採用するのにかかった費用のことです。計算式は「(外部コスト+内部コスト)÷ 採用人数」。採用コストが総額を指すのに対し、採用単価は1人あたりに割り戻した数字を指します。

人材紹介を使った場合の実額は、常用就職1件あたり全業種平均で103万円(厚生労働省・令和6年度)。ただしこの平均を自社に当てはめても意味がありません。職種によって101万円から454万円まで4.5倍の開きがあるからです。

この記事では、採用単価の定義と計算方法を整理したうえで、職種別の目安を一覧にまとめます。自社の職種の相場を確認する起点として使ってください。

この記事の要点

採用単価は「(外部コスト+内部コスト)÷ 採用人数」で求めます。人材紹介の実額は常用就職1件あたり全業種平均103万円ですが、平均値を自社に当てはめても判断材料になりません。

  • 職種で4.5倍の開き看護助手101万円から医師454万円まで。同じ「1名採用」でも金額はまったく違います。
  • 2年で約1割上がった令和4年度94万円、令和5年度93万円、令和6年度103万円。求人が38.0%増えて就職が4.8%増どまりという需給が背景です。
  • 内部コストが抜けやすい求人原稿の作成、応募対応、面接の時間。人事担当がいない会社ほど、ここが実質的にいちばん大きくなります。

まず自社の職種の目安を押さえ、そのうえで「何名採るか」で手段を決めるのが順序です。

弓川堅士

弓川堅士

株式会社Abey
代表取締役

この記事の監修者

長崎大学卒業後、上場企業グループ会社の事業部長として組織づくり・採用業務を担い、株式会社Abeyを創業。
月10万円からの採用業務代行サービス「採用コミット」を立ち上げ、主に中小企業の中途採用(正社員・業務委託採用)を母集団形成から支援。現場で日々採用に向き合っている実務者の視点から、本記事の内容を監修しています。

目次

採用単価とは?採用コストとの違いと計算方法

採用単価と採用コストは、混同されがちですが指すものが違います。

用語指すもの使いどころ
採用コスト採用活動にかかった総額年間の採用予算を組むとき
採用単価総額を採用人数で割った1人あたりの金額手段ごとの効率を比べるとき

計算式は次のとおりです。

  • 採用単価 =(外部コスト + 内部コスト)÷ 採用人数年間200万円をかけて4名採用したなら、採用単価は50万円になります。

重要なのは、媒体ごと・職種ごとに分けて計算することです。全社をまとめて1つの数字にすると、どの手段が効率的だったのかが見えなくなります。

採用コストの内訳は「外部」と「内部」に分かれる

区分含まれるもの
外部コスト求人媒体の掲載費、人材紹介の手数料、採用代行の費用、採用サイトの制作費、会場費、採用管理システムの利用料
内部コスト求人原稿の作成時間、応募者への返信・日程調整の時間、面接官の時間、社内紹介の紹介手当、交通費の負担分

抜けやすいのは内部コストです。人事担当がいない会社では、社長や現場の管理職が本業の合間に対応しているため、費用として計上されません。時給換算で構わないので、かかった時間を金額に置き換えてください。

応募1件あたり30分の対応を50件行えば25時間。時給3,000円換算なら7万5,000円が、見えていない費用として発生しています。

中小企業が大企業とどこで差がつくかは中小企業の採用コスト|一人当たりの相場と大企業との賃金差をご覧ください。

職種別の採用単価一覧

人材紹介の手数料は「理論年収 × 料率」で決まるのが一般的です。料率を30%として、職種ごとの目安を並べます。

職種別の人材紹介手数料の目安を示した横棒グラフ。建築技術者203.7万円、営業198.2万円、電気工事従事者188.4万円、看護師157.4万円、介護職員116.4万円、看護助手101.1万円
推定年収に料率30%を掛けた試算。医師・歯科医師は突出するため下の表に記載
職種推定年収紹介手数料の目安
(料率30%)
有効求人倍率詳しい記事
医師1,512.3万円453.7万円1.97倍クリニックの採用コスト
歯科医師1,062.7万円318.8万円1.97倍クリニックの採用コスト
システムコンサルタント・設計者889.0万円266.7万円1.39倍エンジニア採用の費用
電気・電子・電気通信技術者703.9万円211.2万円1.39倍エンジニア採用の費用
建築技術者(施工管理)679.1万円203.7万円5.65倍施工管理の採用単価
営業職(その他)660.7万円198.2万円2.14倍営業職の採用単価
電気工事従事者628.1万円188.4万円3.32倍電気工事士の採用単価
ソフトウェア作成者578.5万円173.6万円1.39倍エンジニア採用の費用
薬剤師566.8万円170.0万円1.97倍クリニックの採用コスト
看護師524.7万円157.4万円2.12倍看護師の採用単価
営業用大型貨物ドライバー507.2万円152.2万円2.51倍ドライバーの採用単価
保育士427.6万円128.3万円2.80倍保育士の採用単価
准看護師427.5万円128.3万円2.12倍看護師の採用単価
歯科衛生士396.0万円118.8万円3.19倍歯科衛生士の採用単価
介護職員388.0万円116.4万円3.63倍介護の採用単価
受付・案内事務員353.4万円106.0万円0.37倍クリニックの採用コスト
看護助手337.1万円101.1万円2.68倍クリニックの採用コスト

医師の453.7万円と看護助手の101.1万円では4.5倍の開きがあります。「採用単価の平均は◯万円」という数字を自社の予算に当てはめると、職種によっては2倍以上ずれます。

医療・介護・保育は実績値のほうが低い

上の表は年収から逆算した理論値です。医療・介護・保育の3分野については、厚生労働省が実際に支払われた手数料の平均額を公表しています。

職業紹介事業者に支払われた平均手数料額の棒グラフ。医師82.4万円、看護63.9万円、保育64.6万円、介護55.1万円
実際に支払われた平均手数料額(厚生労働省・令和5年度実績)

医師82.4万円、保育64.6万円、看護63.9万円、介護55.1万円。保育・看護・介護で理論値の半分程度、医師では2割程度になるのは、この統計の対象が常用就職(無期雇用または4ヶ月以上の有期)で、パート・非常勤の紹介も含まれるためです。

常勤のフルタイム1名に絞れば理論値のほうが実態に近くなります。見積もりを比べるときは、常勤か非常勤かを必ず揃えてください。

手法別の採用単価

手法1名あたりの費用目安費用の発生タイミング
ハローワーク0円ー
無料媒体(エンゲージ・Airワーク)0円ー
リファラル(社員紹介)数万〜十数万円入社時に紹介手当
Indeed・求人ボックス(有料出稿)数万〜数十万円掲載中に随時(クリック課金)
転職サイト(掲載課金型)数十万円〜掲載時に前払い。採用できなくても発生
人材紹介全業種平均103万円入社時。決まるまで無料
転職フェア出展料を採用人数で割った額出展時に前払い

掲載課金型と成功報酬型では、リスクの持ち方が逆になります。掲載課金型は採用できなくても費用が出ていき、成功報酬型は決まるまで無料な代わりに1件あたりが高くつきます。

中途採用に絞った費用の内訳は、中途採用の費用|一人当たりの相場と職種別の採用単価一覧をご覧ください。

採用単価の推移:この2年で約1割上がっている

常用就職1件あたりの紹介手数料の推移を示す折れ線グラフ。令和4年度94万円、令和5年度93万円、令和6年度103万円
令和6年度は前年度比10.9%増(厚生労働省 職業紹介事業報告書の集計結果)
年度1件あたり手数料就職件数(常用)求人数(常用)
令和4年度約94万円約81万件約1,179万人
令和5年度約93万円約88万件約1,296万人
令和6年度約103万円約92万件約1,789万人

令和6年度は求人数が前年度比38.0%増、新規求職申込件数も42.8%増。それなのに就職件数は4.8%増にとどまりました。

求人も求職も膨らんでいるのに成立数が伸びていないということは、1件を決めるまでの工数が増えているということです。その分が手数料に反映されています。

企業側にとって重要なのは、この傾向がすぐには反転しないという点です。紹介に依存した採用は、今後も単価が上がる前提で予算を組む必要があります。

削減の具体策と、手法別の実額は採用コスト削減の方法|手法別の相場と一人当たりを下げる順番で詳しく扱っています。

採用単価を下げる順番

  • 1. 応募から面接までの歩留まりを直す(費用0円・即効)応募当日の返信、日程候補を3つ以上、オンライン面談の選択肢。分母を増やさずに分子だけ減らせるので、最も効率のよい打ち手です。
  • 2. 求人原稿に条件を書き切る(費用0円)給与の内訳、労働時間の実績、休日日数、業務の範囲。書かない項目は、求職者にいちばん不利に想像されます。
  • 3. 対象を広げる(費用0円)未経験、他業種、時短、パート、シニア。要件を1つ外すだけで母集団が変わり、1名あたりの掲載費が下がります。
  • 4. 媒体の配分を見直す(費用の組み替え)媒体ごとにクリック単価と応募単価を比較し、効率のよいほうへ寄せます。ここではじめて数字を根拠に判断できます。
  • 5. 紹介の使い方を絞る(費用の削減)媒体で母集団が作れる職種は自社募集に切り替え、有資格・高年収の職種だけ紹介を残します。

順番が大事です。1〜3をやらずに4や5から手をつけると、母集団そのものが減って採用できなくなります。逆に1〜3だけで単価が下がるケースも珍しくありません。

「何名採るか」で手段が決まる

人材紹介は決まるまで無料な代わりに、採用するたびに定額がかかります。自社募集は掲載費と運用費が先に出ていく代わりに、採用人数が増えるほど1名あたりの単価が下がります。

採用代行の月額10万円+初期費用10万円+掲載費 月3万円(年間166万円)を基準にすると、逆転点は職種によって次のように変わります。

逆転点職種
年1名営業職・電気工事士・施工管理(紹介手数料が166万円を超える職種)
年2名看護師・介護・ドライバー・歯科衛生士・保育士・中途採用全般
年3〜4名実際に支払われた平均手数料(令和5年度実績)で見た場合の保育士・看護師(年3名)、介護(年4名)

ただし自社募集は採用できなくても費用が出ていきます。「今月中に1名必要」なら紹介、「年間を通して採り続ける」なら自社募集という使い分けが現実的です。

単価を下げる前に、そもそも応募が止まっている場所を特定しておくと無駄がありません。切り分けの手順は採用が難しい理由と対策|求人を出しても応募が来ない原因の切り分け方にまとめました。

採用単価についてよくある質問

採用単価の平均はいくらですか?

人材紹介なら常用就職1件あたり全業種平均103万円です(厚生労働省・令和6年度)。求人広告経由なら掲載費の投じ方で数万円から数十万円、ハローワークや無料媒体は0円です。

ただし職種によって101万円から454万円まで4.5倍の差があります。「平均」を自社の予算根拠に使うと、職種によっては2倍以上ずれます。上の一覧で自社の職種を確認してください。

採用単価と採用コストの違いは何ですか?

採用コストは採用活動にかかった総額、採用単価はそれを採用人数で割った1人あたりの金額です。年間200万円で4名採用したなら、採用コストは200万円、採用単価は50万円になります。

予算を組むときは採用コスト、手段の効率を比べるときは採用単価を使います。媒体ごと・職種ごとに分けて計算しないと、どの手段が効いたのか判断できません。

内部コストはどこまで含めるべきですか?

求人原稿の作成、応募者への返信と日程調整、面接の実施にかけた時間を、時給換算で含めてください。社内紹介の紹介手当や、応募者の交通費負担があればそれも含めます。

人事担当がいない会社ほど、この内部コストが実質的にいちばん大きくなります。外部に払う金額だけを見ていると、代行や外注に切り替えた場合の比較ができません。

なぜ採用単価は上がり続けているのですか?

令和6年度は求人数が前年度比38.0%増、新規求職申込件数が42.8%増と大きく伸びた一方、就職件数は4.8%増にとどまりました。求人も求職も増えているのに、決まる数が伸びていません。

1件を成立させるまでの工数が増えており、それが手数料に反映されています。1件あたりの手数料は令和5年度の93万円から令和6年度の103万円へ、10.9%上昇しました。

採用単価を下げると採用の質は落ちますか?

下げ方によります。応募への返信を速くする、求人原稿に条件を書き切るといった改善は、母集団を減らさずに単価だけを下げるため質は落ちません。

一方で掲載費をいきなり切ると、母集団そのものが減って質も落ちます。順番として、費用のかからない改善を先にやり、掲載費の見直しは最後に置いてください。

まとめ:採用単価は平均ではなく、自社の職種で見る

採用単価は「(外部コスト+内部コスト)÷ 採用人数」で求めます。人材紹介の全業種平均は1件103万円ですが、職種によって101万円から454万円まで4.5倍の開きがあり、平均値は判断材料になりません。

そして単価はこの2年で約1割上がりました。求人が38.0%増えても就職は4.8%増どまりという需給が続く限り、この傾向は反転しません。紹介に依存した採用は、上がる前提で予算を組む必要があります。

下げるなら順番があります。歩留まり、原稿、対象範囲。費用のかからない改善を先にやり、掲載費の見直しは最後です。

私たちが運営する採用コミットは、株式会社Abeyが提供する月額定額の採用代行です。求人原稿の制作からIndeed・求人ボックス・エンゲージ・Airワーク・ジョブメドレー等の媒体運用、週次レポートまでを担い、応募者への返信・面接・採否の判断は自社に残ります。料金は初期費用10万円・月額10万円〜、成果報酬0円、採用人数の上限なし(税別・最低契約期間3ヶ月・媒体掲載費は別途)。何人採用しても月額は変わらないので、採用単価の分母に制限がかかりません。

プランごとの詳細は料金プランのページに掲載しています。採用代行そのものの費用構造は採用代行の費用相場|料金体系別の目安と一人あたりの採用単価で整理しています。

出典

本記事は株式会社Abey(採用代行サービス「採用コミット」運営)が制作しました。手数料額・就職件数・求人数・賃金・有効求人倍率の数値は上記の原典を確認したうえで記載し、調査名と年度、確認日を併記しています。推定年収(きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額)、料率30%を掛けた手数料の目安、逆転点の試算(掲載費を月3万円と仮定)は当社による計算です。保育士の有効求人倍率はこども家庭庁「保育士の有効求人倍率の推移(全国)」令和8年7月時点、介護職員は「介護サービス職業従事者」、その他は令和8年3月の職業分類(参考統計表6の区分)別の数値です。受付・案内事務員は「一般事務従事者」、建築技術者は「建築・土木・測量技術者」、歯科衛生士は「医療技術者」、看護助手は「保健医療サービス職業従事者」、医師・歯科医師・薬剤師は「医師,歯科医師,獣医師,薬剤師」の値で代用しています。実際の料率・契約条件により金額は変動します。

この記事を書いた人

弓川堅士のアバター 弓川堅士 代表取締役

長崎大学卒業後、上場企業グループ会社の事業部長を経て、株式会社Abeyを創業。
月10万円からの採用業務代行サービス「採用コミット」を立ち上げ、主に中小企業の中途採用(正社員・業務委託採用)を母集団形成から支援。

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