中途採用の費用|一人当たりの相場と職種別の採用単価一覧

中途採用で人材紹介を使った場合、常用就職1件あたりの手数料は全業種平均で103万円です(厚生労働省・令和6年度)。前年度の93万円から10.9%上がっています。

ただし「平均103万円」を自社の予算に当てはめても意味がありません。紹介手数料は理論年収に料率を掛けて決まるため、職種の年収がそのまま費用差になります。介護職なら116万円、建築技術者なら204万円。同じ「中途採用1名」でも88万円の開きがあります。

この記事では、中途採用の費用を手法別・職種別に分解し、自社の職種でいくらかかるかを見積もれる形に整理します。

この記事の要点

中途採用の紹介手数料は全業種平均で1件103万円、前年度から10.9%上昇。求人数が38.0%増えた一方で就職件数は4.8%増にとどまり、1件を決める工数が手数料に乗っています。

  • 平均値は自社に当てはまらない費用は職種の年収で決まり、介護116万円から建築技術者204万円まで88万円の差。
  • 医療・介護・保育は実績値が低いパート・非常勤を含む統計のためです。
  • 内部コストを忘れない採用単価は(外部+内部)÷採用人数。人事担当がいない会社ほど効きます。

年2名以上なら自社募集のほうが安く、年収の高い職種なら年1名でも逆転します。

弓川堅士

弓川堅士

株式会社Abey
代表取締役

この記事の監修者

長崎大学卒業後、上場企業グループ会社の事業部長として組織づくり・採用業務を担い、株式会社Abeyを創業。
月10万円からの採用業務代行サービス「採用コミット」を立ち上げ、主に中小企業の中途採用(正社員・業務委託採用)を母集団形成から支援。現場で日々採用に向き合っている実務者の視点から、本記事の内容を監修しています。

目次

中途採用の費用は、手法によって0円から200万円超まで分かれる

手法1名あたりの費用目安費用の発生タイミング
ハローワーク0円ー
無料媒体(エンゲージ・Airワーク)0円ー
Indeed・求人ボックス(有料出稿)数万〜数十万円掲載中に随時(クリック課金)
転職サイト(掲載課金型)数十万円〜掲載時に前払い。採用できなくても発生
人材紹介(全業種平均)103万円入社時。決まるまで無料
人材紹介(高年収職種)150万〜240万円同上
ダイレクトリクルーティング数十万円〜利用料+成功報酬の組み合わせが多い

このうち金額の根拠がはっきりしているのは人材紹介です。職業紹介事業者は年度ごとの運営状況を厚生労働省に報告する義務があり、その集計が公表されています。

自社が採用代行に向いているかどうかの判断は採用代行の向き不向き|依頼する前に確認する3つの条件をご覧ください。

中途採用の紹介手数料は全業種平均1件103万円、前年度から10.9%上昇

令和6年度の集計結果によると、有料職業紹介の常用就職件数は888,993件、常用就職に係る手数料の総額は約9,136億円。1件あたり約103万円です。

項目令和5年度令和6年度対前年度比
常用就職1件あたりの手数料約93万円約103万円+10.9%
うち常用就職に係る手数料(有料)約7,821億円約9,136億円+16.8%
常用就職件数(有料)843,950件888,993件+5.3%
手数料収入(総額・臨時日雇を含む)約8,362億円約9,835億円+17.6%
就職件数(常用・有料+無料)約88万件約92万件+4.8%
求人数(常用・有料+無料)約1,296万人約1,789万人+38.0%

求人は38%増えたのに、決まったのは4.8%増だけ

職業紹介市場の対前年度比の棒グラフ。新規求職申込件数42.8%増、求人数38.0%増、手数料収入17.6%増、1件あたり手数料10.9%増、就職件数4.8%増
求人は38.0%増えたが、就職件数は4.8%増にとどまった(令和6年度)

この差が中途採用の費用を押し上げている構造です。企業側の求人は前年度から38.0%増えました。求職者の申込も42.8%増えています。それなのに実際に決まったのは4.8%増だけ。

求人と求職の両方が膨らんでいるのに成立数が伸びていないということは、マッチングの精度が落ちているということです。紹介会社から見れば、1件を成立させるまでに以前より多くの工数がかかる。その分が手数料に乗ります。

企業側にとって重要なのは、この傾向がすぐには反転しないという点です。紹介に依存した採用は、今後も単価が上がる前提で予算を組む必要があります。

企業規模による条件差が大きい職種もあります。中小企業と大企業でどれだけ違うかは中小企業の採用コスト|一人当たりの相場と大企業との賃金差で整理しています。

中途採用の費用は「平均」ではなく「職種の年収」で決まる

紹介手数料は「理論年収 × 料率」で決まります。料率は25〜35%が一般的なため、職種の年収がそのまま費用差になります。

職種別の紹介手数料の目安を示した横棒グラフ。建築技術者203.7万円、営業198.2万円、電気工事従事者188.4万円、看護師157.4万円、大型ドライバー152.2万円、保育士128.3万円、歯科衛生士118.8万円、介護職員116.4万円
推定年収に料率30%を掛けた試算。同じ「中途1名」でも職種で88万円の差がつく
職種推定年収料率25%料率30%料率35%
建築技術者(施工管理)679.1万円169.8万円203.7万円237.7万円
営業職業従事者(その他)660.7万円165.2万円198.2万円231.2万円
電気工事従事者628.1万円157.0万円188.4万円219.8万円
看護師524.7万円131.2万円157.4万円183.6万円
営業用大型貨物自動車運転者507.2万円126.8万円152.2万円177.5万円
保育士427.6万円106.9万円128.3万円149.7万円
歯科衛生士396.0万円99.0万円118.8万円138.6万円
介護職員388.0万円97.0万円116.4万円135.8万円

建築技術者と介護職員では、料率30%で比べると87.3万円の差があります。「中途採用の相場は100万円」という一般論をそのまま自社に当てはめると、職種によっては2倍近くずれます。

医療・介護・保育は、実績値のほうが低い

上の表は年収から逆算した理論値です。医療・介護・保育の3分野については、厚生労働省が実際に支払われた手数料の平均額を別途公表しています。

分野実績の平均手数料(令和5年度)年収×30%の理論値
医師82.4万円ー
保育64.6万円128.3万円
看護63.9万円157.4万円
介護55.1万円116.4万円

実績値が理論値の半分程度になるのは、この統計の対象が常用就職(無期雇用または4ヶ月以上の有期)で、パート・非常勤の紹介も含まれるためです。医療・介護・保育は非常勤の比率が高く、全体平均が押し下げられます。

逆に言えば、常勤のフルタイム1名に絞れば理論値のほうが実態に近くなります。見積もりを比べるときは、常勤か非常勤かを必ず揃えてください。

職種ごとの相場を一覧で確認したい場合は採用単価とは?計算方法と職種別の相場、平均の見方をご覧ください。

中途採用の費用で見落とされる「内部コスト」

ここまでは外部に支払う費用の話です。中途採用にはもう一つ、社内で発生する費用があります。

  • 求人原稿の作成と更新1本を作るのに数時間、媒体ごとに書き分けるとその倍。更新が止まると掲載順位が落ちます。
  • 応募者への一次対応応募のたびに返信し、日程を調整する時間。応募が増えるほど比例して増えます。
  • 面接の実施面接官の時間。1名採用するまでに複数名と面接するため、採用単価の分子に効きます。
  • 媒体運用と効果測定クリック単価と応募単価を見て予算配分を変える作業。これをやらないと掲載費が無駄になります。

採用単価は(外部コスト+内部コスト)÷ 採用人数で出します。内部コストは時給換算で構いません。人事担当者がいない会社では、この内部コストが実質的にいちばん大きい費用になっていることがあります。

コストを実際に下げる手順は、採用コスト削減の方法|手法別の相場と一人当たりを下げる順番にまとめました。

中途採用の費用を年間総額で比べると、逆転点は「年2名」

紹介手数料を全業種平均の103万円、自社募集を「採用代行の月額10万円+初期費用10万円+掲載費 月3万円」で1年間続けた場合(合計166万円)で比べます。

年間の採用人数人材紹介(103万円×人数)自社募集+採用代行(年166万円)安いほう
1名103万円166万円人材紹介
2名206万円166万円自社募集+採用代行
3名309万円166万円自社募集+採用代行
5名515万円166万円自社募集+採用代行
10名1,030万円166万円自社募集+採用代行

逆転点は年2名です。年収の高い職種(建築技術者・営業・電気工事など)なら、年1名でも自社募集のほうが安くなります。

ただし自社募集は採用できなくても月額と掲載費が出ていきます。紹介は決まるまで費用が発生しません。「今月中に1名必要」なら紹介、「年間を通して複数名を採り続ける」なら自社募集という使い分けが現実的です。

費用の考え方そのものは採用代行の費用相場|料金体系別の目安と一人あたりの採用単価で詳しく整理しています。

中途採用の費用を下げる順番

  • 1. 応募から面接までの歩留まりを直す(費用0円・即効)応募当日の返信、日程候補を3つ以上、オンライン面談の選択肢。中途の求職者は在職中に複数社を並行して受けています。ここが最も早く効きます。
  • 2. 求人原稿に条件を書き切る(費用0円)給与の内訳、労働時間の実績、休日日数、業務の範囲。書かない項目は、いちばん不利に想像されます。
  • 3. 対象を広げる(費用0円)未経験、他業種、時短、業務委託。要件を1つ外すだけで母集団は大きく変わります。
  • 4. 媒体の配分を見直す(費用の組み替え)媒体ごとにクリック単価と応募単価を比較し、配分を変えます。
  • 5. 紹介の使い方を絞る(費用の削減)すべての職種を紹介で採るのをやめ、媒体で母集団が作れる職種は自社募集に切り替えます。有資格・高年収の職種だけ紹介を残す形が現実的です。

採用代行というサービス自体の仕組みから知りたい方は採用代行(RPO)とは?業務内容と費用相場、人材紹介との違いで整理しています。

中途採用にしぼって募集の実務を外に出す場合の進め方は中途採用の採用代行サービスにまとめています。

中途採用の費用についてよくある質問

中途採用の費用は1人あたりいくらが相場ですか?

人材紹介なら常用就職1件あたり全業種平均103万円(厚生労働省・令和6年度)です。ただし職種の年収で大きく変わり、料率30%で試算すると介護職員116万円から建築技術者204万円まで開きます。

求人広告経由なら掲載費の投じ方で数万円から数十万円、ハローワークや無料媒体は0円です。

なぜ中途採用の費用は上がり続けているのですか?

令和6年度は求人数が前年度比38.0%増えた一方、就職件数は4.8%増にとどまりました。求人も求職も増えているのに成立数が伸びていないため、1件を決めるまでの工数が増え、それが手数料に反映されています。

1件あたりの手数料は93万円から103万円へ10.9%上昇しました。

中途採用の紹介手数料は交渉できますか?

紹介会社が厚生労働大臣に届け出た手数料表の範囲内であれば、料率や支払条件を相談する余地はあります。複数名をまとめて依頼する場合は特にそうです。

ただし値下げ交渉より、返戻金規定(早期退職時の返金条件)を詰めるほうが実質の負担は下がります。

中途採用の費用(採用単価)はどう計算すればいいですか?

(外部コスト+内部コスト)÷ 採用人数です。外部コストは掲載費・紹介手数料・採用代行の費用、内部コストは求人作成・応募対応・面接にかけた時間を時給換算したものです。

媒体ごとに分けて計算すると、どの媒体が効率的かが見えます。

まとめ:中途採用の費用は平均値ではなく自社の職種で見積もる

中途採用の紹介手数料は全業種平均で1件103万円、前年度から10.9%上昇しました。求人数が38.0%増えたのに就職件数が4.8%増にとどまるという需給の歪みが、上昇の背景にあります。

そして費用は職種の年収で決まります。介護職員116万円から建築技術者204万円まで、同じ「中途1名」でも88万円の差がつきます。平均値を自社の予算に当てはめないでください。

年2名以上の採用があるなら、自社で母集団を作れる状態にしたほうが総額は下がる計算です。年収の高い職種なら年1名でも逆転します。

私たちが運営する採用コミットは、株式会社Abeyが提供する月額定額の採用代行です。求人原稿の制作からIndeed・求人ボックス・エンゲージ・Airワーク・ジョブメドレー等の媒体運用、週次レポートまでを担い、応募者への返信・面接・採否の判断は自社に残ります。料金は初期費用10万円・月額10万円〜、成果報酬0円、採用人数の上限なし(税別・最低契約期間3ヶ月・媒体掲載費は別途)。何人採用しても月額は変わりません。

プランごとの詳細は料金プランのページに掲載しています。まずはその職種と条件で媒体から母集団が作れるかだけでもお伝えできます。

応募が止まっている場所を先に特定しておくと、無駄な出稿を避けられます。切り分けの手順は採用が難しい理由と対策|求人を出しても応募が来ない原因の切り分け方にまとめました。

出典

本記事は株式会社Abey(採用代行サービス「採用コミット」運営)が制作しました。手数料額・就職件数・求人数・賃金の数値は上記の原典を確認したうえで記載し、調査名と年度、確認日を併記しています。推定年収(きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額)、料率別の手数料額、年間費用の比較(掲載費を月3万円と仮定)は当社による試算であり、実際の料率・契約条件により変動します。

この記事を書いた人

弓川堅士のアバター 弓川堅士 代表取締役

長崎大学卒業後、上場企業グループ会社の事業部長を経て、株式会社Abeyを創業。
月10万円からの採用業務代行サービス「採用コミット」を立ち上げ、主に中小企業の中途採用(正社員・業務委託採用)を母集団形成から支援。

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